2011 Fiscal Year Annual Research Report
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22540234
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
佐藤 信哉 立教大学, 理学部, 准教授 (60305662)
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Keywords | 部分因子環 / 幾何学的実現 / 再生核ヒルベルト空間 / similarity orbit / ループ群 / 3次元Chern-Simons理論 |
Research Abstract |
前年度に引き続き,部分因子環の幾何学的実現についての研究を行った.手法としては,Beltita-Galeによる条件付き期待値を持つC*-環の包含関係B⊂Aの再生核ヒルベルト空間上への表現をvon Neumann環の場合に適応した.その結果,部分因子環N⊂Mの場合にも,この手法は有効であることがわかり,N⊂Mの再生核ヒルベルト空間上への表現を得ることができた.Beltita-Galeによって指摘されているように,この再生核ヒルベルト空間に対してN⊂Mの条件付き期待値Eの(Mの可逆元による)similarity orbit上のvector bundle上へのbundle homomorphismが存在することが知られている.一方で,このようなsimilarity orbit上のvector bundleについてはAndruchow-Stojanoffらによる結果が知られており,特に,Jones指数が有限かつ部分因子環が既約である場合には,Jones projectionのsimilarity orbitは対応する条件付き期待値のsimilarity orbitのcovering spaceである.結果として,部分因子環N⊂MはJones projectionのsimilarity orbit上のvector bundleへの幾何学的実現を持つことがわかった.先に述べたsimilarity orbitの被覆変換群はWeyl群と呼ばれており,Jones指数が4未満の場合には自明となることがArgerami-Stojanoffの結果によって知られている.このWeyl群自体は非常に弱い不変量であり,Jones指数が4未満の場合を判別する不変量への拡張が必要とされるが,これは次年度以降の研究とすることになった. Posthumaはループ群を用いた3次元Chern-Simons量子場の理論の構成の際に,Chern-Simons平坦接続のなすモジュライ空間上の切断上に部分因子環N⊂Mを構成した.この手法と上述の手法をうまく組み合わせることにより,部分因子環の幾何学的実現についてより精密な分析ができるものと期待される.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
背景となる知識として新たに要求される部分が多く,それらの理解に手間取ってしまった.
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Strategy for Future Research Activity |
・Argerami-StojanoffによるWeyl群の概念をより精密な不変量となるように拡張する. ・Posthumaによるループ群を用いた部分因子環の表現論とBeltita-Gale&Andruchow-Stojanoffによる構成法を十分に検討することにより,これらの両方を包含する理論の構築を目指す.
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