2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22540234
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
佐藤 信哉 立教大学, 理学部, 准教授 (60305662)
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Project Period (FY) |
2010-10-20 – 2014-03-31
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Keywords | 部分因子環 / コホモロジー群 |
Research Abstract |
部分因子環に対して非自明なコホモロジー群を定義することは難しいことが知られている.非自明なコホモロジーについては,泉‐幸崎による先行研究がある.彼らは部分因子環のQ-systemと呼ばれる不変量に対して2次のコホモロジーという概念を定義し,実際に多くの例についてその計算を行った.これは因子環への群作用に対して定まるコホモロジー群の部分因子環に対する類事物と考えることができることが知られている. 本研究では,低次元位相幾何学的な観点からQ-systemにコホモロジー群の定義を行った.部分因子環のQ-systemはフロベニウス代数の構造を持っており,その構造はある種の図式として理解できる.J. S. Carterらはフロベニウス代数に対してチェイン群とその微分を定義し,4次までのコホモロジー群を定義することに成功した.本研究では,彼らの結果を部分因子環のQ-systemに適用することにより,チェイン群とその微分を定義することが出来,4次までのコホモロジー群を与えることが確認出来た.残念ながら,具体的な計算をすることが技術的に難しく,この点については今後の課題としたい.また,結び目理論への応用を考えると,このように定義されたコホモロジー群では不十分であることは容易にわかる.結び目のJones多項式が部分因子環から得られたことを考えると,結び目のKhovanovホモロジー群との関係が期待されるが,この点についても今後の研究課題としたい.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
具体的なQ-systemに対するコホモロジー群の計算が非常に煩雑であるために,計算が遅れているため.
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Strategy for Future Research Activity |
(1)比較的取扱いが容易と思われる部分因子環に対してコホモロジー群の計算を行う. (2)Braidingを持つ部分因子環に対して同様のコホモロジー群を定義することにより,結び目理論への応用を促したい.実際には,braidingを持つ部分因子環のQ-systemに対するmodule categoryを考え,それに対して図式からコホモロジー群を定義する必要があるものと推察される.
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