2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22540299
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
石橋 明浩 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 研究員 (10469877)
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Keywords | 相対論 / 重力理論 / 超弦理論 |
Research Abstract |
当該年度は、高次元ブラックホールの対称性と位相構造(ホライズンのトポロジー)の関係について調べた。特に定常ブラックホールの持つ回転対称性によるイベント・ホライズンの位相構造への制限を5次元真空解の場合について調べ、ホライズン断面に対応する可能な3次元多様体を分類した。先行研究により、対称性を考慮しない場合についてはホライズンのトポロジーは正のスカラー曲率をもつ計量を許すものでなければならないことが分かっていた。また高次元ブラックホールが既知の厳密解に見られる十分高い対称性を持つ場合には、可能な位相構造がかなり強く制限され、5次元であれば3次元球面、リング的なもの、及びレンズ空間に限られることも証明されていた。しかし現在のところ一般的な剛性定理によると、定常な高次元ブラックホールが持ち得る回転対称性の数は、たった一つしかその存在が保証されておらず、理論的にはその様な対称性の少ない場合にブラックホール解をどのように分類して行くかが問題となっている。本研究では、一つしか回転対称性を持たない場合には、対称性の高い場合に比べて、ずっと多くの位相構造が可能となること、具体例としてプリズム多様体などが可能となることを証明した。本研究成果により、対称性の低い高次元ブラックホールの分類問題へ向けて第一歩を踏み出すことができた。 また静的高次元ブラックホールの摂動安定性について、およびトポロジーと一意性について、国内外での最近の研究成果を調査し、レヴュー論文としてまとめた。
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Research Products
(4 results)