2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22540299
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
石橋 明浩 近畿大学, 理工学部, 准教授 (10469877)
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Keywords | 相対論 / 超弦理論 / 素粒子 / 数理物理 / 宇宙物理 |
Research Abstract |
本年度は、当該研究テーマの高次元ブラックホールの研究の現状・課題を把握する目的で、最近までに分かったことの総括と、今後取り組むべき問題点の整理をおこなった。 まず、高次元真空ブラックホールの一般的性質として、「ホライズンのトポロジー」「定常ブラックホール時空の軸対称性」「定常解の一意性」に着目し、これらのブラックホール時空が、大域的保存量だけでは一意的に決定できないこと、それを補完するために必要なロッド構造(区間構造)と呼ばれる準局所的な不変量について、最近分かったことをまとめ、発表した。("Topology and Uniqueness of Higher Dimensional Black Holes "Progress of The oretical Physics Supplement 189巻pp. 52(2011年)招待レビュー論文,項目13.参照) 次に、やはり高次元ブラックホール解の分類問題として重要な観点である、「高次元ブラックホール解の安定性」について、特に時空が静的な場合について、線形摂動のゲージ不変な定式化とその応用による線形安定性の最新の研究結果をまとめた。ここには一般相対論における高次元解だけでなく、その他の興味ある理論として、Lovelock重力という高次曲率項を含む理論のブラックホール解についての最近の研究もふくめて整理しレビュー論文として発表した。("Perturbations and Stabihty of Static Black Holes in Higher Dimlensions "Progress of Theoretical Physics Supplement, 189巻pp. 165(2011年)招待レビュー論文,項目13.参照)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、高次元ブラックホールの内、単純な真空解のトポロジー、対称性、分類問題について、これまでに解明できたことをまとめ、2本の招待レヴュー論文にまとめて発表した。当初の本年度計画であった回転ブラックホール解の安定性解析については、まだ成果がでていない。本年度中に研究拠点を高エネルギー加速器研究機構から近畿大学へと移したため、研究環境の整備に時間を費やすことになった。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の計画の内、遅れ気味である回転ブラックホールの安定性解析については、(1)変分原理を用いた軸対称摂動安定性についての解析的手法が、海外でのいくつかの研究グループが開発された。今後の課題は、その変分原理に基づく解析方法を習得し、電荷をもった場合や臨界ブラックホール、および宇宙項を含む場合に拡張する。(2)また、より一般的な摂動で、特にゲージ場やスカラー場を含む場合については、計算式がとても複雑になるため、数値計算による方法を取り入れる。数値計算の専門家とワークショップを開いて助言を得る。また共同研究を立ち上げ、解析的方法と数値的方法の両方から解析に挑む。
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Research Products
(7 results)