2011 Fiscal Year Annual Research Report
高放射線環境下における10um超高分解能薄膜観察装置の開発
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22540320
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
武田 泰弘 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 技師 (70391745)
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Keywords | 高分解能観察 / 表面・界面物性 / 放射線環境 / 量子ビーム照射 / ビーム損傷 / 荷電変換フォイル |
Research Abstract |
荷電変換フォイルはビーム照射時に発生する熱や放射線損傷によって、ピンホールや変形を引き起こす。この荷電変換フォイル上のピンホールの成長過程、破損過程の研究には10μm以下の超高分解能観察装置が必要であるが、観察装置の使用環境は高放射線、真空中の観察と非常に劣悪であるため、長時間観察できる条件を満たした装置は存在しない。そこで、我々は高放射線環境でも超高分解能で常時観察できる望遠鏡の原理を応用した観察システムを考案した。放射線環境で使用できる材料や高分解能を可能とする様々な光学系を比較検討し、最良な方式を選択した結果、約9m先の被写体を8.3μmの分解能で観察できる超高分解能観察装置の設計に成功し、実機の製作を行った。 本年度は超高分解能観察装置の光学性能試験について詳しく調べ、設計通りの性能が出ているか確認する。そのために、仮光路(光路上の光学機器はレンタル)を製作し、超高分解能観察装置を配置して、分解能、色収差などの光学性能を調べた。 この光学性能試験により、高分解能で色収差もほとんど見られないことが確認された。非常に高性能な光学機器であることが証明されたことになる。この分解能は炭素フォイルのピンホール形成過程の観察するために必要な高分解能(10μm以下)に十分達成しており、今後は、製作した超高分解能観察装置を使用して、ビーム照射による荷電変換炭素フォイルの変形やピンホールの成長過程を詳細に観察することで、破損にいたるメカニズムを解明していくことが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
東日本大地震の影響により平成22年度分の納期が遅れたが、23年度の前期の仮光路製作の設計や製作準備を早めたことで、最終的には予定通りの達成度に到達した。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度は、光学性能試験により、高分解能で色収差もほとんど見られない、非常に高性能な光学機器であることが証明された。本年度は。このデータを詳細検討し、成果を纏め、発表を行う。また、さらなる高性能機器の製作に向け、他の研究の情報収集を行いたい。
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Research Products
(4 results)