2010 Fiscal Year Annual Research Report
強磁場下の混合原子価希土類化合物のX線吸収磁気円二色性と共鳴X線発光分光の理論
Project/Area Number |
22540341
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
小谷 章雄 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 共同研究員 (90029504)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小出 常晴 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 准教授 (10150012)
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Keywords | 混合原子価 / 希土類化合物 / 強磁場 / X線吸収 / 磁気円二色性 / 共鳴X線発光 |
Research Abstract |
強磁場下の混合原子価CeおよびYb化合物に対して、L端X線吸収スペクトル(XAS)の磁気円二色性(XMCD)の理論を大幅に進展させた。不純物アンダーソン模型に外部磁場を印加し、4f-5d電子間の交換相互作用を導入することにより、強磁場下でXMCDを理論計算できる体系を開発し、この系の基本的性質を研究する一方で、具体的な実験結果の理論解析にこの系を応用した。基本的性質としてはXMCDスペクトルの積分強度と磁化の関係、L_2・L_3間のXMCD強度比と基底状態波動関数の関係を初めて明らかにした。また、結晶場効果、混合原子価効果と磁気ゼーマン効果の競合によるXMCDの形状変化を一般的立場から議論した。具体的な実験との関連については、最近、40Tまでのパルス磁場を用いてYbInCu_4のYbL_<23>端XASとXMCDの測定がおこなわれているが、その結果をこの理論系によって解析した。磁場誘起価数転移を不純物アンダーソン模型の範囲内で記述するための工夫をおこない、実験と計算の結果の比較により、実験結果の意味づけをおこなった。特に、強磁場で、YbL_2端のXMCDが負の値をとる現象は異常なものと位置づけられ、その原因について、結晶場効果や5dスピン分極効果に基づいた考察を進めている。 以上の希土類L端XMCDの研究と平行して、M端のXMCDの研究にも着手し、強磁場下のYbInCu_4のYb M端XASとXMCDの理論予測をおこなった。さらに、ごく最近の注目すべき実験として、EuNi_2(Si_<0.18>Ge_<0.82>)_2のEu M_<4,5>端のXASとXMCDがパルス磁場下で観測されたので、実験研究者と協力してその理論解析を始めた。現在、研究は順調に進展しており、近いうちに大きな成果を期待している。
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Research Products
(4 results)