2011 Fiscal Year Annual Research Report
重い電子系における価数揺動と量子臨界現象及び超伝導との関係に関する研究
Project/Area Number |
22540343
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
山岡 人志 独立行政法人理化学研究所, 石川X線干渉光学研究室, 専任研究員 (30239850)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
IGNACE Jarrige 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 関西光科学研究所・放射光科学研究ユニット, 研究員 (00455289)
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Keywords | 量子臨界 / 価数揺動 / 共鳴X線発光分光 / 高圧 / 放射光 / 超伝導 |
Research Abstract |
本研究は、重い電子系超伝導体、あるいは、量子臨界性を示す化合物の電子構造や価数状態をバルク敏感な高分解能共鳴X線発光分光法により明らかにし、それが物性にどのように影響するかを調べることを目的としている。初年度は(平成22年度)は、鉄系超伝導体CeFeAsO_<1-y>、及び、金属内包フラーレンCe@C_<82>に対して、価数などの電子構造の温度依存性、そして、室温で圧力依存性を調べる実験を、アンジュレーター放射光を使って行った。本年度(平成23年度)は、超伝導体のYbGaSi系、スクッテルダイトYb_xFe_4Sb_<12>、重い電子系超伝導体のCeIrSi_3の電子構造の温度依存性・圧力依存性を調べる実験を行った。YbGaSi系では、SPring-8におけるYb L_3吸収端付近での発光分光測定に加え、HiSORを使って高分解能の光電子分光測定も行い、詳細な電子構造を明らかにすることができた。特に、スクッテルダイトでは、これまでのimpurity Anderson model等で説明できない、低温でのYb価数の異常な上昇を初めて観測した。CeIrSi_3では、量子臨界点付近の電子構造を明らかにすることができた。これらの実験結果は、それぞれ、論文として出版された。 本年度は、低温かつ高圧下での実験を進めるためにmembrane DACを準備し、いくつかの測定を行ってきている。現在までで、20Kで約20GPaまでの測定ができている。実際の測定対象としては、価数揺動が媒体として超伝導を起こしていると言われているCeCu_2Ge_2などの測定を現在行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の主な目標のひとつは、極低温かつ超高圧下での測定であった。現在、これは達成できており、実際のサンプルで測定を始めることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在立ち上がってきた極低温かつ超高圧下の測定を、今後も進めていきたい。 研究実績でも記したように、スクッテルダイトYb_xFe_4Sb_<12>の研究で新たな発見があった。これは、d電子系とf電子の両方がかかわると思われる現象である。このようなd+f電子系の研究をさらに発展させていくことは、物理的に興味深い。
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Research Products
(8 results)