2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22540489
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡田 卓 東京大学, 物性研究所, 助教 (90343938)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 水素 / プロトン / 氷 / 氷惑星 / 超イオン伝導 / 高圧 / 高温 / 電気抵抗 |
Research Abstract |
第一に、本研究で発見された、高圧氷VII相のプロトン伝導率が室温下加圧中約12GPaを頂点として1桁程度高くなる現象のメカニズムを計算物理学の研究者と共に理論的に考察した。常圧氷Ih中のプロトン運動は水素結合ネットワークの基底状態からの欠陥励起として記述される。基底状態とは、(I) 酸素の近くに2つの水素がある、(II) 1つの水素結合上には1つの水素があるという氷則である。氷にはイオン励起(H3O-とOH-)と回転励起(L欠陥とD欠陥)という2種類の欠陥励起がある。水素結合に沿いプロトンが酸素から隣の酸素へ移動し((I)の反則=イオン欠陥)、氷則(I)を回復するために水分子が回転する((II)の反則=回転欠陥)。外部電場に伴い2つの欠陥が協働しプロトンが流れる。高圧氷では圧力上昇に伴い酸素原子が近づくことにより水素結合上のプロトン移動はし易くなる一方、水分子の回転はし難くなると考えられる。約12GPaにおける伝導率圧力依存性逆転現象は、律速過程がプロトン移動から水分子回転へ変化したためと解釈できる。 第二に、12~44GPaにおいてレーザー加熱をしながら交流抵抗測定を行った。全8回のランのうち38及び44GPaで行った2つのランのみで、レーザー出力増加に伴い試料抵抗が2桁程度不連続に低下した。この時、新規導入した赤外光放射温度計を用いたにも拘わらず充分な強度の輻射光は得られず測温不能であった。一方他の6回のランでは同程度の高圧下であるにも拘わらずレーザー出力増加に伴い試料抵抗は連続的に低下した。この不整合の原因は、広い抵抗領域でプロトン伝導検出可能な電極材質・形状・状態を最適に保持することが困難で、更にレーザー加熱中の電極間の試料状態を均質一定に保持することが困難であるためと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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