Research Abstract |
申請課題は、主成分・微量元素組成およびSr・Nd・Pb同位体組成の分析・解析から、中部九州地域火山フロントで観察されるアダカイト質,及び,非アダカイト質マグマ両マグマの成因関係を明らかにすることでスラブ由来物質の化学組成や物性、及びマントルウェッジとの反応過程を解明することを目的としている。平成23年度は,九重火山の試料採取と前年度までに採取した試料の分析及びだ一た解析を行った。その結果,1)九州南部の桜島火山の始原マグマはMORB-型のマントルウェッジにフィリピン海プレート由来の流体が付加することによって生じ,噴火に至る過程で地殻物質の混入を受けた,2)今年度までの研究で,姫島,両子山,由布・鶴見のアダカイト質マグマの化学・同位体組成と阿蘇,桜島の非アダカイト質マグマの化学・同位体組成を明らかにすることができた,3)この結果から,中部九州地域火山フロントで観察されるアダカイ,ト質,及び,非アダカイト質マグマ両マグマの起源物質は,ともに,フィリピン海プレート由来物質とMORB-型のマントルウェッジであり,地殻物質の影響は阿蘇や桜島で観察されるものの,アダカイトを得v法づける高いSr/Y比は下部地殻の部分溶融によるものではないらしいことが明らかになった。これらの成果から,本研究で対象としたマグマの化学・同位体組成を用いることで,本地域においてアダカイト質,及び,非アダカイト質マグマの示す特徴の違いを,スラブが脱水するとき,及び,部分溶融するときの物質の移動の仕方の違いと仮定して議論することが可能となった。この内容は2011年12月にアメリカ合衆国サンフランシスコで開催されたAmerican Geophysical Unionにて発表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた九重火山の化学・同位体組成の分析は遅れているが,それに代わって,桜島火山の分析を先に終了させ,比較的データの蓄積の少ない非アダカイト地域のマグマの組成を明らかにできた。従って,予定と多少前後するものはあったが,目標としていたAmerican Geophysical Unionでの発表にまでこぎつけたので,おおむね順調に進展していると判断した。
|