2010 Fiscal Year Annual Research Report
多置換芳香族複素環化合物を用いた特異な白色発光有機EL特性の発現
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22550034
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
大須賀 秀次 和歌山大学, システム工学部, 准教授 (50304184)
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Keywords | 芳香族複素環化合物 / 合成化学 / 有機EL / 蛍光 / りん光 / 三重項励起状態 / エキシマー / 白色発光材料 |
Research Abstract |
本研究課題では、ヘテロ原子の特性をうまく活用して新規発光材料を合成するとともに、青色発光材料単体から白色発光有機EL素子が得られる発光機構の解明、および白色発光有機EL素子が得られる発光材料の構造の条件を明らかにすることを目的としている。 多置換ベンゾジチオフェン誘導体の合成を行うため、以下の合成実験を行った。まず、ベンゾジチオフェンのテトラブロモ体から、脱ブロモ化によりβ位のジブロモ体を合成し、対応するボロン酸との鈴木カップリング反応によりβ-ジアリールベンゾジチオフェンを得た。続いてビス(トリブチルスズ)化合物を経て、Stilleカップリング反応によって六置換ベンゾジチオフェン誘導体を得た。 このうち、β位にフェニル基を持つPhBTxを発光層に用いた有機EL素子を作製し、ELスペクトルを測定したところ、PLスペクトルと一致する420nm付近にピークを持つ発光帯に加え、570nm付近にピークを持つ発光帯が観測された。そのため、13.5Vにおいて白色発光を示し、そのCIE色度座標は(0.29,0.23)であった。 ELスペクトルについてのみ二つのピークが見られる理由を考察するため、PhBTx薄膜の低温スペクトルの測定を行い、常温スペクトルと比較した。その結果5Kにおいては、一重項からとみられる発光帯が420nm付近に、常温では観測されない発光帯が570nm付近にそれぞれ観測され、これらはELスペクトルのピークとほぼ一致した。また、570nm付近の発光帯の発光減衰時間は26msと非常に長い成分を含むことから、一重項励起状態からの発光とは考えにくいことも明らかとなった。 さらに、電子状態の異なる一連の六置換ベンゾジチオフェン誘導体の合成を試みた他、発光材料を構成するベンゾジチオフェン部位およびトリフェニルアミン部位の各発光特性についても詳細に検討した。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Origin of Yellow Emission in White OLED with Single Emitting Material2011
Author(s)
Akimoto, I., Tsuzuki, S., Uzawa, H., Hinatsu, M., Nishide, Y., Osuga, H., Sakamoto, H.
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Journal Title
Physica Status Solidi C
Volume: 8
Pages: 124-127
Peer Reviewed
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