2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22550064
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
木下 勇 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80128735)
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Keywords | 金属錯体化学 / 環境科学 / 資源化学 / 光合成 / 人工光合成 |
Research Abstract |
新規配位子系の確立:トリスピリジルチオメタン(tptmH : SSS)で表すことが出来るチアピリジンを一般化する方向でtptmの骨格が三つの硫黄を含むもの(SSS)であることに対応し、二つの硫黄と一つの炭素がカルバニオンに結合したSSCの配位系をもつ配位子群を設計合成し、新規配位子系を確立した。 化学量論的に変換してきた、キノン/ヒドロキノン変換の時系列変化を検討し定量的2分子反応のパスを見いだした。この反応はプロトン協奏的電子移動過程で水のプロトン還元プロセスを含む。SSC配位子を用いることによって、触媒化を検討したが、系が不十分であったのでさらにSCC配位子を設計・錯体合成を行い検討中である。現在合成可能な各種[M(tptm)X](M : Fe, Ni, Cu, Zn)を用いて、触媒的プロセスの解明を検討中である。Ni、及びFe錯体においてはM-C、金属カルバニオン結合をもつ錯体を合成できる。この場合、Cu(II)/Cu(III)の場合には見られない予見不可能な反応が進行する。Ni(sss)錯体では可逆性のよいNi(II)/Ni(III)酸化還元反応が進行し、その後SSS配位子の再配向が見られる。そこで反応のメカニズム、詳細な内容を検討した。Fe(II)錯体ではメタセシス反応の基礎ともいえるカルベン/カルバニオン反応をも見いだしたので、これを詳細に検討し、電気化学測定によってそのメカニズムを解明した。今後の光還元プロセス解明の第一歩となると思われる。
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