2012 Fiscal Year Annual Research Report
電気的両性と極性が混成した新奇な有機半導体の創出指針探索
Project/Area Number |
22550121
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐藤 直樹 京都大学, 化学研究所, 教授 (10170771)
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Project Period (FY) |
2010-10-20 – 2013-03-31
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Keywords | 有機半導体 / 分子内電荷分布 / 両性極性分子 / 両性イオン分子 / 薄膜構造 / 分子配向 / 電子物性 / 電気特性 |
Research Abstract |
本研究は、有機半導体の物性化学の観点から、従来ほとんど取り上げられなかった構造や電荷分布が異方的な分子に着目し、特に電気的両性と極性が混成する特徴的な分子を選んで付加価値の高い有機半導体を得る基盤を築くことを目的とした。 本研究で取り上げてきた両性イオン分子、ピリジニウム-1,3-ジヒドロ-1,3-ジオキソ-2H-インデン-2-イリド(PI)の窒素置換体で唯一、双極子モーメントが同方向に揃った結晶を与える4N-PIが、その構造を表面酸化シリコン基板上への真空蒸着薄膜でも保持して自発表面電位を与えことを踏まえ、基板の表面修飾が膜構造に及ぼす効果を検討した。性質の異なる自己集合単分子膜での表面修飾や、成膜後の水蒸気暴露など行って薄膜X線回折や偏向赤外多角入射分解分光法により膜構造を精査した結果、親水性界面に調製した膜の水蒸気アニールが、基板表面に垂直な方向に分子を配向させる効果があることが判った。これは誘電性と半導体特性の双方を備えた系の構築にとって有用な知見である。 また、ドナー・アクセプター両部位からなる両性の半導体分子、ビス[1,2,5-チアジアゾロ]-p-キノビス(1,3-ジチオール) の蒸着薄膜についても、基板選択や自己集合単分子膜での表面修飾による膜構造の違いを調べた。自己集合単分子膜の選択により膜中の分子配向が制御できる手掛かりが得られ、この特徴ある有機半導体の可能性の拡張に資する結果を得た。 一方、以上の研究を通じて得た基板と有機半導体薄膜に関わる知見を踏まえ、チタンを電極としたペンタセン蒸着膜の系が方向性や規模が試料や測定履歴に依存する非対称的なダイオード挙動を示すことを見いだし、実在有機半導体の電荷輸送機構を考える上で有力な知見を得た。 三年間に及ぶこれらの研究成果は、分子の特異な電荷分布や分極特性を制御して付加価値をもつ有機半導体が創出できることを例示している。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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