2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22550126
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
山田 康治 日本大学, 生産工学部, 教授 (10166704)
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Keywords | 示差熱分析 / 固体NMR / イオン伝導性 / 分子運動 / 相転移 / ガラス転移 |
Research Abstract |
平成23年度は一連の濃度のLiCl水溶液を調製し、DTA・NMR同時測定装置を用いて、ガラス状態、結晶化、融点を水溶液濃度の関数として測定した。また、Li塩を溶解させた一連のイオン伝導性高分子を測定した。これ等の同時測定から、ガラス転移とNMRにおける運動による尖鋭化を同時に検出し、それらの関係を定量的に考察できる環境が構築されていることが明らかとなった。これまでガラス転移現象を運動の相関時間の観点から考察した例はほとんど存在しない。そこで今後、NMRの線形のシミュレーションにより運動の相関時間を見積る解析環境が整備できれば、ガラス転移温度と分子運動の関係を同時測定データから考察できる。 一方、ハード及びソフトの測定環境においては下記のような問題点があった。(1)^7Li NMRにおけるように低濃度試料では感度が悪く、またノイズの多い周波数帯のためノイズ対策が不可欠。(2)制御ソフトの作成しやすさからDTAとNMRをそれぞれ異なったPCで制御している。(3)ベースラインの安定したDTA測定には、より最適な昇温速度や温度制御のPIDパラメータを決定する必要がある。これらの問題に対し、プローブの作製も含め総合的に取り組み、1台のPCで安定したDTA曲線とノイズの少ない^7Li NMRが測定できる環境が完成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
^1H,^<19>F,^7Li NMRとDTAの同時測定できるハード及びソフトの両面から測定環境がおおむね完成した。比較的低濃度のリチウムのNMR信号もノイズ対策を施すことにより同時測定できる。今後はイオン液体やゲル状高分子など、多くの試料を測定し、ガラス転移温度、結晶化や融点と分子運動の関係を詳細に検討できる状況となった。
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Strategy for Future Research Activity |
高分子材料を中心にイオン伝導性試料に対し同時測定を行い、イオン導電率、ガラス転移や結晶化、融解とNMRからの運動の相関時間の関係を定量的に考察する。この計画を遂行するためには特にNMR線形のシミュレーションが必要不可欠でソフトの開発も中心に総合的に計画を推進する。
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Research Products
(3 results)