2011 Fiscal Year Annual Research Report
大規模線形方程式系に対する新数値解法,GBi-CGSTAB法の研究
Project/Area Number |
22560060
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
杉原 正顯 東京大学, 情報理工学(系)研究科, 教授 (80154483)
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Keywords | 線形方程式系の数値解法 / クリロフ部分空間法 / IDR(s)法 / 偽収束 / シフト方程式 |
Research Abstract |
谷尾,杉原によって開発された大規模線形方程式系の数値解法GBi-CGSTAB(s,L) 法に関して以下のような研究成果を得た. [1] 偽収束に関する新しい知見の発見とそれを用いた偽収束を改善するための手法のGBi-CGSTAB法への組込み: 昨年,偽収束現象を改善する手法をIDR(s) 法の場合に倣って開発した.その手法を多くの例に適用する中,残差と真の残差の差のノルムは反復初期からほとんど変わらず一定となっていることを発見した.そこでこれを利用した偽収束を改善する自動残差修正機構を構築し,GBi-CGSTAB法に組込んだ.そして,昨年度開発した自動残差修正機構の場合と比較し,同等以上の有効性をもつことを示した. [2] GBi-CGSTAB(s,L) 法に基づく多数のシフト方程式を効率よく解くため解法の確立: 多数のシフト方程式効率よく解くためのクリロフ部分空間法として,Shifted GMRES法,Shifted BiCGstab(L)法,Shifted IDR(s)法など,様々なものが提案されている.ここではまず手法の基礎になる残差の共線性をGBiCG(s) 法の場合に確立し,GBiCG(s) 法によるシフト線形方程式の解法を与えた.そして,これにshifted BiCGSTAB(L) 法に倣いながら,安定化多項式を付加し,GBi-CGSTAB(s,L) 法を基にしたシフト線形方程式の解法を構築した.数値実験により,既存手法と比較し,同等以上の性能を持つことを確かめた.特に,歪対称に近い係数行列を持つ,IDR(s) 法をベースとした手法では解けなかった問題に対して,有効であることを確かめた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の目標である:偽収束を改善する手法の開発,多数のシフト方程式を効率よく解くため解法の確立が達成され,研究は順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
偽収束に関する新しい知見(残差と真の残差の差のノルムは反復初期からほとんど変わらず一定となっていること)は,GBi-CGSTAB法のみならず,クリロフ部分空間法に共通する性質のようであり,これを解明することはこの分野におけるブレークスルーとなることが期待される.是非,この方向での研究を進めたい.
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Research Products
(2 results)