2010 Fiscal Year Annual Research Report
応力緩和モニタリングによる電子実装基板用インデンテーションクリープ法の高精度化
Project/Area Number |
22560070
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
大口 健一 秋田大学, 工学資源学研究科, 准教授 (30292361)
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Keywords | 応力緩和 / インデンテーション / クリープ / 電子実装基板 |
Research Abstract |
(1)引張ひずみ保持・インデンテーション時の応力緩和挙動の調査 一定の引張ひずみを与えて保持した試験片に圧子を押し込む、引張ひずみ保持・インデンテーション試験を実施した。試験には、引張試験機とマイクロメータにビッカース圧子を取付けたインデンテーション用の装置を用いた。試験片には、室温でもクリープ変形を示すSUS316材を用いた。試験後、引張ひずみ保持・インデンテーション試験と引張ひずみ保持のみの試験で応力緩和量を比較した。その結果、インデンテーションの有無による応力緩和量の違いは、圧子の押し込み深さの増加により増大することが判明した。また、この応力緩和量の違いをヤング率で除した値は、インデンテーションによる圧痕の体積を試験片評点部の体積で除した値とオーダー的に近いことも判明した。このことは、応力緩和挙動を観測することで、インデンテーションにより引張試験片の評点部に生じる体積ひずみが定量化できることを示唆するものと考えられる。 (2)インデンテーションクリープのFEA インデンテーションクリープ試験から導出したクリープ則は、引張クリープ試験から導出したクリープ則と一致しないことが知られている。この原因として、インデンテーションと引張クリープでは、扱う変形領域のサイズが異なることを挙げることがある。この考えが妥当であるのかを検証するために、Sn/Ag鉛フリーはんだのインデンテーションクリープの有限要素解析(FEA)を実施した。解析には、引張クリープ試験から導出したクリープ則を用いた。解析結果からは、インデンテーションクリープ試験と同様に、一定荷重の負荷過程におけるインデンテーション深さの時間変化を用いてクリープ則を導出した。その結果、解析に用いたクリープ則とは一致しなかった。この数値実験の結果から、試験法によるクリープ則の不一致は、扱う変形領域のサイズの違いに起因するものではないと考えられる。
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