2011 Fiscal Year Annual Research Report
応力緩和モニタリングによる電子実装基板用インデンテーションクリープ法の高精度化
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22560070
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
大口 健一 秋田大学, 大学院・工学資源学研究科, 准教授 (30292361)
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Keywords | 応力緩和 / インデンテーション / クリープ / 電子実装基板 |
Research Abstract |
インデンテーション試験における応力算出法についての検討 従来、インデンテーションクリープ試験から導出したクリープ則と引張クリープ試験から導出したクリープ則の不一致の原因は、各試験で扱う変形領域のサイズの違いにあると考えられてきた。しかし、前年度に実施したFEM解析によりその可能性は低いことが判明した。本年度は、数種類の負荷パターンによるインデンテーションのFEMシミュレーションを実施し、クリープ則の不一致の原因についてさらに考察した。その結果、インデンテーション試験における応力を、圧子と材料の接触面積で荷重を除すことで算出する従来の方法では、過大に応力を見積もってしまうことが判明した。このことは、インデンテーション試験における応力は、圧子と材料の接触面積に何らかの係数を乗じた値で荷重を除して算出すべきであることを意味する。そこで先のFEM解析結果に基づき、この係数値について検討した結果、Sn-3.OAg-0.5Cu材では係数の値が約3.5となることが判明した。 圧子押込み・深さ保持・除荷試験法の提案 インデンテーションにおける応力算出の際に接触面積に乗じる上述の係数の値は、ヤング率と圧子押込み保持による荷重緩和曲線を用いることで導出した。これは、FEM解析ではヤング率とクリープ特性を表す材料定数が既知であるため可能であった。また、実際に任意の材料のクリープ特性をインデンテーション試験で評価しようとする場合には、接触面積に乗じる係数の値が材料により異なる可能性が高い。そこで、係数値、ヤング率、クリープ特性を同時に求めることができる試験方法として、圧子押込み・深さ保持・除荷試験法をFEM解析に基づいて考案した。ただし、この方法にはクリープ特性を表す材料定数と接触面積に乗じる係数を算出する際の数値解法に未だ不備があるため、今後のさらなる検討が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
数種類の負荷パターンによるインデンテーションのFEM解析に基づき、従来のインデンテーション法よりも正確にクリープ則が導出できる可能性のある方法を理論的に示すことはできた。しかし、その方法の妥当性を実際のインデンテーション試験により検証するところまでは至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
Sn-3.OAg-0.5Cu材を試験材料として、圧子を一定荷重で押込むインデンテーションクリープ試験を行う。その試験結果に「研究実績の概要」で述べた応力算出用の係数を用いて、定常クリープ則を導出する。導出したクリープ則は、引張クリープ試験から導出したクリープ則と比較する。これにより、実際のインデンテーション試験における、接触面積に係数を乗じる方法の有効性について検討する。また、圧子押込み・深さ保持・除荷試験法に用いる数値解法を確立すると共に、圧子押込み・深さ保持・除荷試験を実際に行い、その試験法を確立する。さらには、定常クリープ則だけではなく、遷移クリープ則も導出することができる試験法への拡張も試みる。
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