2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22560243
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
加藤 秀雄 国立大学法人千葉大学, 大学院・工学研究科, 教授 (80009711)
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Keywords | 仮想現実感 / ものづくり / 技能習得 / 不快感 |
Research Abstract |
不快感としての皮膚振動および音の発生装置製作および振動波形の設定を行った.また,それらを用いた技能習得への効果について基礎的なデータを収集した.さらに,仮想環境による技能習得システムに関する基礎的なデータを収集した. 具体的には,振動モータを利用した250Hz皮膚振動発生装置を製作し,加振部位と不快感との関係を被験者実験により検討した.その結果,首筋部への加振が最も不快であることが明らかになった.ついで,十数種類の不快音候補を音声信号ソフトにより作成し,それらと不快感との関係を被験者実験により検討した.一対比較法による評価の結果,不快度の高い3種類の音を選定した.さらに,タブレットによる曲線追跡を対象タスクとし,追跡失敗時に不快音または非不快音を作業者に聞かせる実験を行い,失敗数と作業時間を検討した.その結果,所要時間の短縮を重視する技能習得訓練では不快音を用い,失敗の減少を重視する訓練では非不快音を用いるのが妥当であるとの結論を得た. 仮想環境による技能習得システムに関する基礎的データ収集では,中ぐり旋盤加工の仮想現実感装置を用いて,工具剛性を順次低下させる訓練方法を実験的に検討した.その結果,提案した方法は訓練回数の短縮および疲労の低減に有効であることを見出した.また,フライス盤作業を対象とした仮想現実感装置を用いて,それによる訓練と作業手順書による訓練法を比較検討したところ,実際に手を動かす仮想現実感装置のほうが多くの点ではるかに有効であることを確認した.さらに,段取りに関する技能のうち,チャック支持された円筒状工作物のハンマリングによる半径方向位置決め,すなわち芯だし作業について,仮想現実感を用いて打撃力調整技能と締付け力調整の難易度の違いを検討した.その結果,後者のほうが難易度が高いことを見出した.以上の成果は,ものづくりの仮想環境で負のインセンティブを与えることによる高能率訓練システム構築への重要な足掛かりとなる.
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