Research Abstract |
手アーク溶接簡易仮想現実感装置を用いて,その特性を生かした高能率訓練実験を被験者の協力のもとにその有効性を検討した.また,力覚提示装置を用い,新たに溶接棒と母材との衝突を力覚提示できる手溶接仮想現実感装置を開発し,力覚の有無が訓練効果に及ぼす影響について検討した.ついで,円筒状工作物の芯だし作業については,実機作業における被験者の動作を詳細に測定できるようにし,仮想環境と現実環境における技能の関係を調査した.さらに,不快振動提示装置とVR旋盤中ぐり訓練装置を組合せ,不適切な操作時に不快振動を提示することにより,不適切操作に対する訓練効果を検討した. 具体的に述べると,高能率訓練実験では,簡易仮想現実感装置のアーク発生範囲を,始めは広くすることにより作業を易しくし,習熟するにつれて現実的に狭くする新たな手順を設定し,始めから現実的な範囲とする従来の手順とを被験者による作業実験から比較検討した。その結果,新たな手順を用いた場合と従来の手順の場合では,習熟するまでの作業試行回数に大きな差異はないが,前者はアーク消失等の失敗が少ないため,疲労度が大幅に減少することが確認された.力覚提示の有無については,仮想現実感装置による訓練の前後に被験者に実溶接作業を行わせ,その結果による技能向上の比較を行った.その結果,力覚提示は初心者の技能訓練に大きな差異をもたらさないことが確認された.その理由は,初心者でも溶接棒と母材との衝突はあまり生じないためと考えられる.芯だし作業については,技能を打撃技能と締付け力調整技能に分け,個別に訓練する場合と両者を同時に訓練する場合との比較を行った.技能向上の度合いは,仮想現実感装置による訓練の前後の実機旋盤による作業結果から評価した.その結果,個別に訓練する方が効率的に訓練できることを明らかにした.さらに,不適切操作に対する訓練効果については,部分的ではあるが,構築したシステムが危険な操作を回避し,安全に訓練するために有効であると確認することができた.
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