2011 Fiscal Year Annual Research Report
MIMO通信容量を最大とする端末用アンテナの理論構築と小形化給電回路の研究
Project/Area Number |
22560358
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
鹿子嶋 憲一 茨城大学, 工学部, 教授 (70292472)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武田 茂樹 茨城大学, 工学部, 准教授 (50323209)
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Keywords | MIMO方式 / アレーアンテナ / 相互結合 / マッチング / デカップリング / 効率 / 相関係数 |
Research Abstract |
(1)MPCMベースの整合回路の研究に関して,周波数特性の改善法として(i)各端子の周波数時性がほぼ同等の特性となるデカップリングマッチング回路の設計(ii)放射抵抗値に合わせて終端抵抗を端子毎に異なる値とする回路設計のための基本式の導出と周波数特性の数値解析を実施した。(i),(ii)とも周波数特性改善にある程度の効果は見られるが,大幅な改善は達成できずアンテナ素子が本来持っている特性に支配される事を明らかにした。 (2)MPCMベースの整合回路では,回路設計によっては,広い帯域の端子と狭い帯域の端子となる場合もある。このような場合のアンテナとしての総合的な特性評価をどうすればよいかに関し,アンテナ放射効率に基づく新しい性能評価指標を提案した。これについては次年度さらに検討を進め有効性を確認する予定である。 (3)2素子2端子の場合に関し,集中定数素子を用いたハードウエア設計と予備試作を行い十分実現できる見通しを得た。 (4)ブリッジサセプタンス型回路に関しては,22年度の中心周波数でのデカップリング設計に引き続き,3素子の場合の効率の周波数特性解析を実施した。その結果直線配列アレーの場合,給電端子の1つが非常に狭帯域となる事が判明した。次年度に素子配列等による改善を試みる予定である。 (5)損失を含む回路設計に関しては,集中定数素子による回路構成において,素子のQ値が500以上であれば無損失の場合と同等の設計が可能な事,100未満であれば損失を考慮した設計が必要な事を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
整合回路設計式の拡張,新たなMIMOアンテナ性能指標の提案,予備試作によるハードウエア実現性の確認を進めることができ,ほぼ計画通りに進捗させることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は整合回路理論に基づき,回路設計及びハードウエアの実現を目指しているが,実用上は整合,減結合特性をある程度の特性で妥協し,アンテナシステムをできるだけ簡易なものとするというのが,この分野の流れになっているように思われる。この1年で理論に基づいた設計により十分実用に耐え得る「解」を導き出すよう進める。
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