2010 Fiscal Year Annual Research Report
対話型シナリオ分析ツール開発による里山の生態系サービスの定量化と可視化
Project/Area Number |
22560551
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
齊藤 修 早稲田大学, 高等研究所, 研究員 (50397668)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 禅 京都大学, 農学研究科, 講師 (20462492)
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Keywords | 生態系サービス / 定量化 / 可視化 / 里山 / トレードオフ |
Research Abstract |
本研究は、里山を対象として、供給サービス(木材、食料生産)、調整サービス(大気・水循環調整)、文化サービス(レクリエーション、景観)、基盤サービス(生物生息地)の各生態系サービスを流域スケールで評価し、複数の将来シナリオのもとで生態系サービスが今後どう変化しうるかを政策立案者や地域住民に対して定量的・空間的・視覚的に伝え,協働を支援する対話型シナリオ分析ツール開発を行うものである。本年度の研究成果は以下のとおりである。 (1)生態系サービスの評価方法や将来予測手法のレビューを包括的に行い、生体系サービス間のトレードオフ関係を含むリスクトレードオフ分析の理論的な枠組みと方法を明らかにしたほか,政策オプション選択の結果やトレードオフ関係をその場で提示することができる対話型シナリオ分析ツール開発の基本設計を行った。 (2)そのうえで定量化・可視化の対象とする生態系サービスと評価指標の絞り込みを行い、森林系木質バイオマスを対象とした場合の主要な生態系サービスのインベントリ整備を進めた。インベントリ整備は、全国、広域圏、都道府県、市町村の4つの異なるスケールで行った。 (3)文献及びフィールド調査に基づき、日本全体及び関東地方を対象として、概ね過去50年間の里山の生態系サービスの変化を定量的・空間的に評価し、過去50年間における変化の傾向とその要因を明らかにした。 (4)近畿地方の2府5県を対象に,国土数値情報土地利用細分メッシュを用いて,生態系サービスの源泉となる農地が過去30年の変遷を定量的・空間的に明らかにした。これにより,総量で見ると過去30年で農地は都市的土地利用等への転換により約720平方キロ減少したこと,農地の他用途への転換は,農地と他用途との境界部分で多く発生しており,集塊を成している農地がその周辺部から転用等により徐々に削り取られ減少,断片化していることが定量的に示された。
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Research Products
(7 results)