2010 Fiscal Year Annual Research Report
溶存態ケイ素を考慮した有明海優占植物プランクトンの栄養塩応答モデルの構築
Project/Area Number |
22560553
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Research Institution | Fukuoka Institute of Health and Environmental Sciences |
Principal Investigator |
熊谷 博史 福岡県保健環境研究所, 環境科学部・水質課, 研究員 (30446869)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 義人 福岡県保健環境研究所, 環境科学部・水質課, 専門研究員 (20446868)
石橋 融子 福岡県保健環境研究所, 環境科学部・水質課, 研究員 (90463512)
松尾 宏 福岡県保健環境研究所, 環境科学部, 環境科学部長 (90446865)
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Keywords | 有明海 / 溶存態ケイ素 / 無機態リン / 無機態窒素 / 必須栄養塩 / 珪藻 / 植物プランクトン / 培養実験 |
Research Abstract |
本研究は大別して3つのサブテーマ、(1)有明海の実態調査、(2)有明海植物プランクトンの栄養塩応答実験、(3)栄養塩応答モデルの構築からなる。今年度は、サブテーマ(1)、(2)の調査を実施した。 サブテーマ(1)については、(1)-1栄養塩実態調査と、(1)-2プランクトン実態調査の二つのサブサブテーマからなる。これらの現地調査を有明海北東部の11箇所において毎月実施した。各地点で表層・底層サンプルを採取し、栄養塩濃度(溶存態ケイ素DSi、全窒素TN、溶存態無機態窒素DIN、全リンTP、溶存態無機態リンDIP)を分析し、植物プランクトンを計数した。(1)-1栄養塩実態調査の結果として、各栄養塩濃度の範囲と平均値は、DSi0.14~3.1mg/L(平均値1.2mg/L)、DIN<0.01~3.7mg/L(平均値0.13mg/L)、DIP<0.001~0.091mg/L(平均値0.022mg/L)であった。これらの濃度範囲を利用して、来年度以降の(2)の培養実験濃度に適用する。(1)-2の結果としては、研究対象海域において通年で見られる植物プランクトンと冬季に増加する植物プランクトンが確認された。特に冬季においては2000年にノリの色落ち問題の原因種としてあげられている大型珪藻Rhizosolenia属が優占している月があった。 サブテーマ(2)については、培養に向けた条件設定と予備培養を行った。培養については、(1)-2で得られた濃縮生サンプル0.1mlをL1培地(DIN、DIP:固定、DSi:段階的に変化)に植種し、明暗12時間間隔、室温23℃、5日間の条件で実施した。その結果、培地のDSi濃度の増加に伴い、珪藻細胞数の増加が確認された。また培養後には窒素濃度が特に枯渇する状況にあった。このことはDSi濃度が優占植物プランクトンを変化させる因子となりうること、窒素濃度を変化させた栄養塩モデルを作成する必要性を示していた。
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Research Products
(1 results)