2011 Fiscal Year Annual Research Report
外断熱の特性を生かす自然エネルギー利用に関する研究
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22560586
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Research Institution | Hokkaido Institute of Technology |
Principal Investigator |
鈴木 憲三 北海道工業大学, 空間創造学部, 教授 (70002235)
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Keywords | 自然エネルギー利用 / 外断熱 / 基礎断熱 / 窓の熱収支 / 薪ストーブ / 蓄熱 / 3次元伝熱解析 / 重回帰分析 |
Research Abstract |
基礎断熱の夏冷却・冬熱損失緩和効果については、土間床,布基礎,半地下室別に基礎まわりの温度分布について3次元有限要素法定常熱伝導解析を行い,回帰誤差の小さい因子複合重回帰分析プログラムを利用して汎用性の高い熱通過率の予測式を導いた。また,年周期的熱伝導解析を行い,重回帰分析によりsin関数で表される年間の実効温度差を与える予測式を得た。最後に断熱材の効果的な配分法について検討を加え,基礎形式,地盤種類,気候なども考慮が必要なことを示した。 窓からの日射の暖房効果については、北海道の162ヶ所を対象としたAMeDASの1時間ごとの気象データを利用して、各地点の月別方位別日射量、月別気温、月別風向・風速データを整理した。次に窓ガラス空気層とサッシの熱抵抗値及び日射透過率と日射吸収率を各種断熱窓の熱貫流率と日射取得率計算値が実測結果に良く合うように整理し、断熱窓の選定に役立つ窓の熱収支検討プログラムを作成した。 薪ストーブについては、ブロック造外断熱セントラルヒーティングの住宅内において薪ストーブ暖房とセントラル暖房の比較を行い、高断熱住宅では薪ストーブで問題となる室温制御や自動燃焼の難しさが軽減される可能性を検討した。その結果、薪ストーブ1台で朝と夜それぞれ薪1束づつ適当に燃やす暖房でも暖房時に壁に吸熱された熱は停止後放熱し、16時間のセントラルヒーティングと温度分布と変動幅が変わらないことが分かった。 高窓の熱気除去と夜間冷気の流入効果による冷房不要の住宅に関しては、環境調整に高窓を利用するブロック造外断熱住宅と高窓のない木造住宅の夏季の室内環境を実測比較し、高窓の効果を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
基礎断熱の夏冷却・冬熱損失緩和効果については、3次元有限要素法定常熱伝導解析を行った結果を汎用性の高い熱通過率の回帰予測式にまとめ、学会誌に報告できた。また、窓からの日射の暖房効果、薪ストーブ、高窓の熱気除去と夜間冷気の流入効果による冷房不要の住宅に関する研究もほぼ順調に進み、まとめの段階に入っている。
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Strategy for Future Research Activity |
石油価格の高騰や原子力発電所の事故などから自然エネルギーを利用しようという動きが一層強まっている。変動の大きいのが自然エネルギーの特徴であるが、大き過ぎる変動の緩和こそ外断熱の働きである。最終年度である本年度は、特に高断熱の住宅では高窓など熱気排出を工夫することによって冷房装置が不要になることを証明する。そのために高窓や排気塔の換気性状の実測結果を模型と3次元気流解析を使って再現し、それらの位置や大きさに関する設計資料の構築を行う計画である。
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