2011 Fiscal Year Annual Research Report
交通による水平振動を主対象とした目標とする性能グレードの設定とその説明資料の提案
Project/Area Number |
22560587
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
石川 孝重 日本女子大学, 家政学部, 教授 (20151342)
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Keywords | 環境振動 / 性能設計 / 目標性能 / リスクコミュニケーション / 性能説明 / 居住者意識 / アンケート調査 / 被験者実験 |
Research Abstract |
今年度は、戸建て住宅で実測された波形データのうち、より複雑な振動数特性をもった波形を用いた被験者実験を実施した。その結果から、交通などにより発生する水平方向の実振動の知覚を、卓越振動数と時系列波形における加速度最大値を用いた評価について確度のより高い検証を得た。昨年度までの検討結果から、狭い範囲で顕著に卓越する振動数成分がみられる波形の場合には正弦振動と近い知覚特性が得られることを明らかにしたが、複数の振動数成分が同程度に含まれるような複雑な波形パターンでは、特に、もっとも卓越する振動数が低い場合に、他の振動数成分の影響を受けて、正弦振動より実振動を知覚しやすくなる波形があることが認められた。これらの振動数成分を中心とした波形の特性と知覚との関連に関しては、次年度以降に詳細な検討を進める計画である。 また、居住者を対象とした水平振動の性能評価に関する意識調査を継続して行い、今年度までに行った調査結果を統合して評価した。対象者数を240名に増やすことで、住宅骨組みの水平振動に対する居住性能評価に関する居住者の判断基準を、より明確に把握することができた。今後は、この結果にヒアリング調査の結果をあわせて考察し、水平振動の居住性能に関する判断基準に基づいたグレード設定につなげる計画である。 今後は、被験者実験の結果に基づいて、先行研究による正弦振動の知覚閾に対する評価と比較検討し、正弦振動との対比から、実振動の知覚にかかわる特性を明らかにする。さらに、既往の評価規準類との比較もふまえ、実振動に対する居住性能評価にむすびつけることを目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度に行った実験および調査結果の検討を十分に行い、次年度の調査・実験計画に反映することで、研究の進展に必要な明確にすべきポイントを絞り込んだ実験・調査を実施できているため。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度までに蓄積した実験・調査データの検討結果から、当初の研究目的を遂行するための基礎データは得られたと考えている。次年度は、これらのデータの分析・考察を深め、要因分析などを追求することで、より明確な結論を得る計画である。
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