2011 Fiscal Year Annual Research Report
ユニットケアシステムを用いた児童養護施設における養育環境の構築方法
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22560612
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
石垣 文 広島大学, 大学院・工学研究院, 助教 (60508349)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
生田 京子 名城大学, 理工学部, 准教授 (70420370)
伊藤 嘉余子 埼玉大学, 教育学部, 准教授 (10389702)
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Keywords | 児童養護施設 / 生活単位の小規模化 / 施設環境 / 施設運営 |
Research Abstract |
まず、全国施設におけるユニットケアシステムの導入による生活単位小規模化の実態調査に関しさらに分析を加え、全国実態を五点にまとめた。(1)児童養護施設の生活単位小規模化は、特に児童虐待問題が顕在化した2000年代に入り急速な進展が確認され、社会的要請に対し小規模化による対応を着実に進めてきていたことが分かった。(2)子どもと職員の生活集団の構成とその特性を示し、低い職員配置基準の下で専任と兼任といった工夫のもと職員配置をする姿を捉えた。(3)生活の場と生活単位の関係から、生活行為が単位内で完結し独立性の高い生活が行われる施設がある一方、生活単位内だけで生活行為が完結しない施設が半数近くあることが分かった。これには職員の職種と配置数、処遇職員に求められる職務内容との関連が推察される。(4)小規模化実践の経年的な過程から、小規模化への取り組みにみられる類型化とその特色および施設運営に関する課題を示した。(5)施設運営に関する課題は、職員配置といった制度に関わるものに加え、生活単位の小規模化により職員の働く場が空間的に分けられたことに関連するものが把握された。 次に、運営的要素からみたユニットケアシステムの問題構造を把握するために、管理部門と生活部門の配置関係が異なる5施設を対象として生活単位の編成実態と職員の施設空間の利用実態を捉え、さらに生活単位や職員の密室化・孤立化を防ぐための施設空間や施設利用、職員の連携における特性と課題を把握した。それに加えて施設環境と職員間の連携に対する評価を明らかにした。そこから、職員配置と情報共有の方法、管理部門と生活部門の配置関係、職員の共用空間の役割について検討することが課題として挙げられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
職員の施設空間ニーズについて、調査データの分析が進行中であるため
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Strategy for Future Research Activity |
次年度はまずは職員の施設空間ニーズについて分析考察を進める。更に22、23年度の研究成果をあわせてユニットケアシステムの導入実態を整理し、課題の構造化を行い、ユニットケアシステムの実用に関するモデルを提案する。なお、研究成果については論文投稿および学会発表を進めていく。
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