2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22560633
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
亀谷 義浩 関西大学, 環境都市工学部, 准教授 (30319610)
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Keywords | 螺旋スロープ / 視覚障害者 / 空間把握 / 探索行動 |
Research Abstract |
螺旋スロープは内部空間や外部空間においてその形状の美しさや空間的制約からしばしば設置されるが、視覚障害者が螺旋スロープを不自由なく安全に利用できているとは言い難い現状がある。そこで、平成22年度では、視覚障害者の観点から螺旋スロープを検証するために、既存の螺旋スロープ(大阪市北区天神橋中央付近にある螺旋スロープで、中心から外側まで約8.0m、全体で1.75周(56.47m)、高低差7.5m、通路幅3.0m)を対象に、全盲の視覚障害者(10人)とアイマスクを付けた健常者(11人)を被験者として調査を行い、螺旋スロープの昇降のしやすさや安全性、空間把握の方法等を明らかにした。平成23年度では、その螺旋スロープ路面に点字ブロックを敷設し、視覚障害者(8人)とアイマスク健常者(8人)で同様の実験調査を行った。そして、点字ブロックのない場合と比較し、視覚障害者の特性を明らかにするとともに、点字ブロックの有効性を検証し、問題点や改善策を検討した。結果を以下に示す。 (1)螺旋スロープにおける点字ブロックの敷設は、周回数の把握においては非常に役立っていると考えられるが、スタート方向の把握においては比較的効果が低く、点字ブロックを手掛かりにしない場合も多くある。 (2)点字ブロックの敷設は2枚または3枚が適当であると考えられる。1枚だと見落とすことがあり、周回数の把握やスタート方向の把握において正解率が下がる。また、1枚の場合、不安感が高まる。 (3)点字ブロックを敷設した場合、周回数の把握やスタート方向の把握において、アイマスク者は、点字ブロック以外には手すりを手掛かりとすることが多く、視覚障害者は、手すりだけでなく、感覚や音も手掛かりとしている。 (4)路面の状況や把握しようとしている対象がわからないこと、手掛かりとしている音が消えること等によって、不安感や危険感が高くなる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成22年度の実験調査を基に、平成23年度の実験調査をしたため、順調に調査遂行ができた。また、22年度の調査結果データと23年度のデータを比較することができ、その相違や特性がわかった。
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Strategy for Future Research Activity |
23年度の調査では、螺旋スロープを歩く被験者は調査員の指示により立ち止まり、周回数や方向の自己把握を口述した。次に、被験者自身の判断で既定の周回に止まれるか、またそのとき方向を把握できるかなどを調査する必要がある。平成24年度は、この調査を平成22、23年度と同様に、同じ対象スロープにて実施する予定であり、調査結果についても比較分析する。
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