2010 Fiscal Year Annual Research Report
超音波印加加工処理によるアルミニウム合金板材の成形性および表面品質の向上
Project/Area Number |
22560692
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
廣澤 渉一 横浜国立大学, 工学研究院, 准教授 (20345359)
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Keywords | アルミニウム合金 / 成形性 / 表面品質 / 自動車ポディパネル / 超音波印加加工処理 / ストレッチャ・ストレインマーク / セレーション |
Research Abstract |
自動車ボディパネル材料として使用されているアルミニウム合金板材のプレス成形性の同上ならびに成形時に発生するストレッチャ・ストレイン(SS)マークなどの表面欠陥を抑制する新規「超音波印加加工処理技術」を開発するために、まず「超音波発生装置を組み込んだ万能試験機」を自作した。これは、引張変形や張出し成形などの塑性変形中に常に試料内を超音波が伝播するよう、平板試験片表面に超音波ホーン(周波数28kHz、振幅34μm)が直接接触して加振する構造となっており、原子の拡散促進効果やコットレル雰囲気消霧効果、ナノクラスタ復元効果などが期待できる。 5022合金(Al-44%Mg-0.44%Cu)冷間圧延材および778K60s熱処理材を引張変形すると、応力-ひずみ曲線上にSSマークの発生に対応したセレーションを確認することができ、熱処理を施すことで振幅が小さく、頻度が高い細かなセレーションとなってSSマークが目立たなくなることがわかった。これは、再結晶によって転位が移動しやすくなり、溶質原子雰囲気を形成しにくくなるためと考えられる。 また、冷間圧延材を引張変形中に超音波を印加すると、セレーションの出現するひずみ量が0.058から0.069に増加し、本系合金板材の成形限界が向上することが明らかになった。この機構については、今後TEMによる微視的組織観察などを行って明らかにするが、このような表面品質に優れた高成形性アルミニウム合金板材を創製することで、ボディパネルへのアルミニウム合金板材の適用拡大、自動車重量軽減による燃費改善、さらには地球温暖化・エネルギー問題にも寄与できるものと期待される。
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