2011 Fiscal Year Annual Research Report
溶融分散冷却法での芯材滴離脱・合一の速度論的解析と高含有単核マイクロカプセル調製
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22560757
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
田口 佳成 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (30293202)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 眞人 新潟大学, 自然科学系, 自然科学系フェロー (40018495)
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Keywords | マイクロカプセル / 複合材料・物性 / 表面・界面物性 |
Research Abstract |
これまでのマイクロカプセル化では最適操作条件を決定するために試行錯誤的な手法や経験が少なからず必要であった。そのため,マイクロカプセル化をより幅広い分野に展開するためには,カプセル化過程の現象を定量的に解析し一般化する必要がある。そこで平成23年度では一般化のために不可欠な芯材滴/壁材滴の分散挙動の速度論的解析を行なった。また,その結果をもとに高含有単核型マイクロカプセルへの展開を行なった。 まず,反応系内の素材の物性が芯材滴/壁材滴の離脱・合一・分裂速度に及ぼす影響を検討した。具体的には,溶融分散冷却法により,冷却温度や撹拌速度などの実験条件を段階的に変化させてマイクロカプセルを調製し,素材の諸物性,芯物質の漏洩率などを経時的に測定した。その結果,それぞれの因子が芯材滴の離脱・合一速度に及ぼす影響を明らかにした。これらの知見をもとに,芯材の離脱および合一速度の制御により,高含有単核型マイクロカプセルの調製を試みた。すなわち,芯材の離脱防止と合一促進の最適条件を求め,高含有率で単核型マイクロカプセルの調製を試みた。その結果,芯材の高含有化が達成されるとともに,単核型の割合が高いマイクロカプセルの調製が可能となった。以上の成果は,溶融分散冷却法のみならず,他の方法によるマイクロカプセルの調製や複合エマルションの調製などにおいて,構造制御する上で極めて重要な知見である。次年度はこの結果をもとに,他のマイクロカプセル化方法への応用を検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
液滴の合一と離脱に及ぼす液物性の影響から,目的としている高含有単核型マイクロカプセル調製のために制御すべき因子が明らかになったため。
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Strategy for Future Research Activity |
溶融分散冷却法の工学的体系化とその応用を実施する。その際,予期しない合一や離脱といった誤差のない分散挙動の観察を行うために,壁材としてUV樹脂を利用した検討を行う。これにより,芯材滴/UV樹脂滴/連続相の複エマルション系にUVランプを照射することで瞬時に硬化させることが可能となり,分散挙動を正確に評価できるものと考える。また,分散挙動を単純化するために,合一領域と分裂領域とが明確に分離したループリアクターの利用や,滴径分布の影響を排除するために,オリフィス法などを用いた液滴調製による検討を試みる。
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