2011 Fiscal Year Annual Research Report
セントロメアに特異的なクロマチン構造を形成するために必要な分子複合体の機能解明
Project/Area Number |
22570008
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
堀 哲也 国立遺伝学研究所, 分子遺伝研究系, 助教 (70550078)
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Keywords | 遺伝学 / ゲノム / タンパク質 / プロテオーム / 細胞・組織 |
Research Abstract |
CENP-T/CENP-W複合体が結合するCENP-A近傍のクロマチン構造の実体解明を目指して、CENP-T/CENP-W複合体をベイトとして、ニワトリDT40細胞からクロマチン免疫沈降実験を行い、複数の成分(CENP-T/CENP-W chromatin associated proteins:以下TW-chropと呼ぶ)を見出している。これまで、TW-chropにはクロマチンリモデリング複合体を含む複数のタンパク質が存在することを見出した。その中のEaf6タンパク質(CENP-28)はセントロメア局在を示した。そこで23年度は、Eaf6タンパク質(CENP-28)に焦点をしぼり、セントロメアに特異的なクロマチン構造形成にどのように働くのかについて以下の2点を中心に実施した。 1.遺伝子破壊DT40細胞株を利用したEaf6の機能解析 Eaf6タンパク質は、高感度質量分析によりヒストンアセチル化酵素を含む複合体に含まれ、DT40細胞Eaf6遺伝子破壊株を用いた解析から生存に必須な因子であることが明らかとなった。さらにEaf6遺伝子破壊株を利用し、Eaf6欠損時における各種セントロメアタンパク質、およびセントロメア機能に与える影響を解析した。これまで、SILAC法により複数のセントロメアタンパク質の局在が減少する結果を得た。 2.Eaf6タンパク質の異所局在による機能解析 Eaf6-LacI融合タンパク質を作製し、染色体の任意の場所にLacO配列を挿入したDT40細胞へ導入を行った。この細胞株を使用し、LacO-LacI実験系によりEaf6を異所局在化させ、その異所局在に依存したセントロメアクロマチン構造の形成誘導活性の検証に向けた準備を行った。クロマチン構造変換によるセントロメアの誘導を目指した本実験系は、学術的および医学的にも意義のある試みである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
セントロメアクロマチン構造形成に関与が示唆される分子複合体の同定を行い、現在機能欠損および異所局在による解析を進行していることから、研究目的の達成に向けおおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方策 LacO-LacI異所局在実験系によるセントロメアクロマチン形成におけるTW-chropの役割の解明、および試験管内再構成系によるセントロメアクロマチン構造形成に必須なタンパク質の生物活性の実体解明を行う。
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