2011 Fiscal Year Annual Research Report
求愛ロボットを駆使した性淘汰の実証研究:シオマネキでの解析
Project/Area Number |
22570027
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
松政 正俊 岩手医科大学, 共通教育センター, 教授 (50219474)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅見 崇比呂 信州大学, 理学部, 教授 (10222598)
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Keywords | 行動生態 / 左右不相称 / 同性間淘汰 / 配偶者選択 |
Research Abstract |
配偶者選択による性淘汰と、もう1つの性淘汰である同性間淘汰が、雄の装飾や左右性に与える効果を検討するため、左右不相称の性的二型が顕著で、理想的なモデル生物であるシオマネキ(Uca属)を対象とした野外観察、野外実験、および形態の種間比較を昨年度に引き続いて行った。(1)求愛ロボットは雌の配偶者選択が雄の利き腕の頻度に影響するか否かを検討する実験に使用するためのものであるが、当初予定していた海外(オーストラリア)での作製が難しくなったので、実験計画の自由度を高めるため、ロボットに加えて3DCGの作製を開始した。(2)同性間淘汰が雄の利き腕の頻度を説明するかどうか、という点については、熊本のU.lacteaの雄間闘争の解析を進めた。その結果、利き腕の違う雄同士の闘争はエスカレートしやすく、利き腕が同じ雄同士のそれより長く続くことから、本種においては、同性間淘汰が雄の左右性の維持に関与すると推定された。雄のサイズおよび利き腕を操作した闘争実験も開始したが、結論を示すだけの十分な実験例数には至っていない。(3)異性間淘汰と同性間淘汰の相対的重要度を推定するため、雄の形態の種間比較を継続した。特に、平成23年度には、行動的データが既に蓄積されている沖縄のU.perplexaを主なターゲットとして標本を追加し、解析を進めた。これにより、求愛行動(waving)が複雑なUca perplezaやU.annulipes("Uca lactea complex")の大型鋏脚の甲幅に対する相対長は、wavingのパターンが単純なU.vocansのそれよりも長く、かつ大型個体では軽いという結果がより堅固なものになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予定していたオーストラリアでの求愛ロボットのオーストラリアでの作製が、技術者の体調等の理由から難しくなったため、国内での作製および3DCGを利用した実験の併用に切り替えた。行動観察や、形態の種間比較については、ほぼ予定通りに進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
求愛ロボットや3DCGを使った雄の左右性を操作した野外実験は、本研究課題の目的を達成するために重要なものであるので、その他の観察・実験および形態の種間比較の結果公表を進めながら、3DCG等を使った実験の実現も急ぐ。結果の公表については、投稿中の論文の受理・掲載を目指すとともに、平成24年度には国内外での学会発表を精力的に行う予定である。
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