2012 Fiscal Year Annual Research Report
シロウミウシ属の配偶頻度から見た同時的雌雄同体の進化条件
Project/Area Number |
22570029
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
中嶋 康裕 日本大学, 経済学部, 教授 (50295383)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 同時雌雄同体 / 精子置換 / ウミウシ / 多回交尾 / 配偶戦略 / 性淘汰 / 精子競争 / 受精嚢 |
Research Abstract |
本年度は課題の最終年度となっていたが、この課題の当初の目標であるフィンガープリント法による各々の幼生の父親候補の推定において、一部の幼生で一部のマーカーがうまく機能しない問題があった。そこで、技術的に何か欠点があると考えて操作を工夫したが、依然として解決しなかった。今後新たなマーカーを開発するか設計し直すべきだろうと考えている。 これに代わる実験として、1日(または2日)ごとに3回連続で相手を替えて交尾させた個体を最終交尾後1時間以内、12時間、24時間、36時間、48時間、72時間で固定して、受精嚢および交尾嚢中に蓄えられている精子塊を回収し、どの交尾相手に由来するものかをDNAフィンガープリント法によって解析した。この結果、12、24、36時間後に固定した個体でどの嚢からも最終個体由来の精子が検出できない例が認められた。これは、この交尾相手から得た精子を蓄えることなく消化したと推測され、隠蔽的配偶者(精子)選択を行っている可能性があった。一方、受け取った精子の(嚢間の)移送や吸収には数十時間を要すると予想していたことから固定時間を長くとっていたが、実際には交尾後約1時間で固定した3個体において既に両嚢から最終交尾個体の精子が検出された。このため、精子を最初に受け取る嚢を特定することができなかった。しかし、受精嚢はどの個体も精子がぎっしり詰まっていたが、交尾嚢内の精子量には個体ごとのばらつきがあったことや、各嚢から検出された対立遺伝子の数から推定すると、受精嚢内には3個体以上に由来する精子があったのに対し、交尾嚢内の精子は1-3個体に由来すると、これまで予想されていたのとは異なり、受精嚢に入った精子だけが貯蔵されて、余分な精子はそこから交尾嚢に送られて消化されるのではないかと予想される。来年度は交尾修了後数分以内に固定してみる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(5 results)