2011 Fiscal Year Annual Research Report
ヌタウナギ類における生殖腺の機能分化と内分泌系による制御機構の理解
Project/Area Number |
22570061
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
内田 勝久 宮崎大学, 農学部, 准教授 (50360508)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森山 俊介 北里大学, 海洋生命科学部, 教授 (50222352)
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Keywords | 生殖内分泌 / ホルモン / 無顎類 / 脊椎動物 / 進化 / ヌタウナギ |
Research Abstract |
顎を持たない原始的な脊椎動物であるヌタウナギ類では、下垂体-生殖腺を機能軸とする生殖内分泌現象や繁殖様式等の生物学的な知見が極めて乏しい。本年度の研究では、ヌタウナギ類の下垂体-生殖腺の機能分化と内分泌系との関わりを明らかにするため、(1).GTHや性ステロイド合成に関わる酵素群や卵・精子形成に関連した因子など、生殖腺機能の分化指標となるマーカー分子を同定し、それらの発現動態を捉える。(2).生殖現象に関連する下垂体ホルモンが配偶子の形成や機能マーカー分子にどの様な作用を持つのかを、器官や個体レベルで理解するため、生理活性のある組換え型GTHを作出した。 まず、クロヌタウナギの精巣cDNAライブラリーの網羅的遺伝子探索により、ステロイド合成に関わるコレステロール側鎖切断酵素(CYP11A)遺伝子が得られ、その発現量は生殖線の発達程度の高い個体で高いことが明らかとなった。また、免疫組織化学的な解析により、ステロイド合成酵素の産生部位が、精巣ではライディッヒ細胞に、卵巣では濾胞組織に確認された。これらの結果は、原始的な脊椎動物・ヌタウナギ類の生殖腺が、哺乳類を含めた脊索動物に共通な性ステロイドホルモン合成機構をもつことを示唆している。 クロヌタウナギの組換え型GTHを発現する酵母細胞の形質転換体が複数得られた。これらの形質転換体が発現するタンパクは、分子量約40KDaであり、還元処理を施すと、分子量約25KDaと22KDaの2種類のタンパク質であった。さらに、これら2種類のタンパク質は、抗ヌタウナギGTHα鎖抗体とss鎖抗体にそれぞれ陽性反応を示した。以上の結果から、作出した組換え型タンパクは2量体構造をとり、ヌタウナギの下垂体に存在する天然型GTHに極めて類似した構造であると推察される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
生殖腺機能を評価するマーカー遺伝子の単離と機能の類推、発現部位の特定などについては、1種類の遺伝子に絞って行っているが、詳細なデータが出ている。しかし、生殖腺のcDNAライブラリーの網羅的遺伝子探索により得られた、他の候補遺伝子の発現動態については、詳細なデータが出ていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度では、さらに、機能マーカー遺伝子の発現解析を進めるとともに、組換えタンパクの機能解析にも繋げる予定である。それらの成果を統合し、組換えホルモンの培養実験や投与実験を進めたい。
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Research Products
(7 results)