2011 Fiscal Year Annual Research Report
広域分布種と関連地域固有種に関する系統地理学的解析
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22570085
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
池田 博 東京大学, 総合研究博物館, 准教授 (30299177)
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Keywords | 広域分布種 / 地域固有種 / 系統地理 / バラ科 / キジムシロ属 / キジムシロ群 / 分子遺伝学 / 細胞遺伝学 |
Research Abstract |
本研究は、バラ科キジムシロ属キジムシロ群(Potentilla fragarioides goup)に含まれる広域分布種と、それらから派生したと考えられる地域固有種について、形態学的・細胞遺伝学的・分子遺伝学的解析をおこない、種分化の過程を考究することを目的とする。 平成23年度は、4月から7月にかけて、国内においては車を使った現地調査をおこなった。また、韓国東部および中国(浙江省、江西省)に赴き、現地調査をおこなった。現地では、形態学的解析用サンプル、分子遺伝学的解析用サンプルを採取するとともに、生植物をビニール袋に入れ持ち帰った。国内においては、キジムシロ、ミツバツチグリ、ヒメヘビイチゴ、ツルキンバイ、テリハキンバイ、エチゴキジムシロ、エチゴツルキジムシロ、ヒメツルキジムシロ、ツルキジムシロを採集した。また国外では、中国浙江省においてP.freyniana ver. sinica. Migoを、韓国においてビロウドキンバイ(P.koreana H.Ikeda & Im)を採集した。また、中国の南京植物園と北京植物園において、標本の調査をおこなった。 現在、外部形態の比較、DNAの塩基配列の解析、染色体の数・核型の解析をおこなっているところである。平成23年度に公表した知見としては、キジムシロ群に関係するネパール産の種群を含め、Flora of Nepal第3巻を編集した(Watson, Ikeda et al. 2011)。また、野外調査の過程で見いだされた新知見の報告をおこなった(Ohashi, Ikeda et al. 2011,井手ほか2011)。また、東京大学植物標本室における標本調査の過程で見いだされた新知見を発表した(矢野・池田ほか2011,Ikeda et al. 2011,黒崎・池田ほか2011a, 2011b)。それらに関する学会発表もおこなった(矢野・池田ほか2011,赤井・池田ほか2011,大橋・池田ほか2012,福田・池田ほか2012,矢野・池田ほか2012)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
解析に供するサンプルが充分に集まっていない。車を用いた採集の場合、車窓から対象植物の存在を認識し、採集をおこなっていくが、効率が悪い。さらに、東日本大震災の影響で、東北地方の採集が充分にできていない。また、DNAを用いた分子遺伝学的解析もうまく進んでいないのが現状である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、当該の分類群について、その分布域全体から過不足のないようにサンプリングをおこない、実験に供するとともに、これまで収集したサンプルについての解析も進める。細胞学的解析の結果、キジムシロ群に含まれる種はすべて2倍体であることが明らかになったことから、この種群は2倍体レベルにおける一次的種分化(primaryspeciation)のモデルケースとしてよい材料であると考えられる。今年度は本研究課題の最終年度に当たることから、今後解析を進め、おおよその結果を得た時点で、キジムシロ群における種分化と適応、多様化に関するとりまとめをおこないたい。
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Research Products
(14 results)
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[Book] Flora of Nepal, vol.32011
Author(s)
Watson, M.F., Akiyama, S., Ikeda, H., Pendry, C.A., Rajbhandari, K.R., Shrestha, K.K.(eds.)
Total Pages
425
Publisher
Royal Botanic Garden Edinburgh, Scotland
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