2012 Fiscal Year Annual Research Report
東アジアで放散的種分化を起こしている植物の系統解析
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22570097
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
副島 顕子 熊本大学, 自然科学研究科, 教授 (00244674)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
星 良和 東海大学, 農学部, 准教授 (70332088)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 生物系統地理 / 倍数体進化 / 東アジア / 放散的種分化 |
Research Abstract |
中国に広く分布するシロヨメナ群の形態や染色体数の変異を把握する為に,北京周辺,陜西省南部,広東省西部,および広西省東部において現地調査を行った.観察の結果,日本に分布するシロヨメナと同種とみなすことができるものがこれら全ての地域に広く分布すること,その中に2倍体,4倍体があり,地域によってはモザイク状に入り交じって生育している事がわかった.このシロヨメナは形態変異幅が大きく多様性が高いが,その変異は連続的であり,複数の分類群に分ける必要は認められない.分布域が広く形態的に多様なので,これまで中国植物誌などで複数の分類群と認識されていたようである. また,広東・広西省南部には植物体全体に密毛をもつものが分布しており,シロヨメナとは別種とみなすことができる.これにも2倍体と4倍体が出現するが,4倍体の方がやや標高の高い土地に出現する傾向がみられた.これはAster lasiocladusと同定される. 中国植物誌によると,中国のシロヨメナ群は1種11変種に分類されている.しかし,本研究およびこれまでの知見を合わせて考えると,約3分類群にまとめることができる見込みである.この数の違いはこれまで広分布種の分布と形態変異の連続性が正確に認識されてなかったためと考えられる.一方,日本のシロヨメナ群には6種4変種が認められており,放散的種分化はむしろ日本で顕著に起こったとみなすことができる.これは大陸の地形が連続的であるため,遺伝的交流が妨げられない広分布種が存在するのに対し,日本の地形の複雑さが遺伝的交流を妨げて種分化を促進した結果である可能性が考えられる. これらシロヨメナ群の分子系統解析では,系統関係を推測するために必要な変異がほとんどみつからず,解析が難航している.しかしこのことこそが,これらの分類群が比較的最近,急速に種分化した証拠ともみなす事が可能である.
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Current Status of Research Progress |
Reason
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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