2010 Fiscal Year Annual Research Report
サイトカインENFペプチドファミリーの受容体活性化機構の解明
Project/Area Number |
22570108
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
河野 敬一 北海道大学, 大学院・先端生命科学研究院, 教授 (10136492)
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Keywords | サイトカイン / 昆虫 / 自然免疫 / NMR |
Research Abstract |
ENFペプチド等による昆虫免疫系等における受容体及び受容分子との相互作用を明らかにして活性化機構を分子レベルで理解するために、本年度は、以下の検討を行った。 まず、ENFペプチドに関する構造生物学的研究を円滑に進めることを目標に、既存の大腸菌を用いたENFペプチド大量発現系に加えて、酵母を用いたENFペプチドの大量発現系の構築について検討を進めた。融合タンパク質を用いた新しい手法の導入により発現効率を大幅に向上させることに成功した。次に、ENFペプチドが相互作用することがすでに明らかになっているEGF受容体及び受容分子GBP-BPを中心に、構造生物学的アプローチにより、それらの相互作用に関する情報の解析を進めた。NMR法による相互作用解析及びSPR法による相互作用解析を進め、ENFペプチドが関連分子と相互作用する際の重要残基に関する検討を行った。その結果、ENFペプチドのGBP-BPとの結合における重要残基に関するいくつかの知見を得ることに成功した。 さらに、ENFペプチドと一次配列上の相同性は低いながら、立体構造が類似しているケモカイン様サイトカインHCPについても、その受容体との相互作用について、変異体解析を中心に進め、昆虫免疫系における、受容体刺激と活性化の機構についての検討をおこなった。この結果、HCPの活性発現に重要な役割を果たす領域について有用な知見を得ることに成功した。特に、糖鎖修飾部位を有するC末端側の領域についてその構造と機能が活性発現に与える影響について興味深い成果を得ることができた。
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