2011 Fiscal Year Annual Research Report
癌細胞表面に発現した分枝型O-グリカンによる宿主免疫逃避機構の解明
Project/Area Number |
22570131
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
坪井 滋 弘前大学, 大学院・医学研究科, 研究員 (20526727)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大山 力 弘前大学, 大学院・医学研究科, 教授 (80282135)
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Keywords | 糖鎖生物学 / 癌転移 / 免疫 / 膀胱癌 / NK細胞 |
Research Abstract |
研究目的:癌細胞表面にコア20グリカンと呼ばれる糖鎖が発現すると、癌は宿主の免疫細胞から逃避し悪性化する。本研究は、コア20グリカンの高発現した癌細胞が、どのようにして免疫細胞から逃避しているのかを明らかにすることを目的とする。 研究計画:コア20グリカンを発現していない膀胱癌細胞KK・47と、KK・47にコア20グリカンを発現させた細胞KK・47・C2を角い、両者の比較を行う。 今年度に得られた研究結果: (1)コア20グリカン高発現細胞の方が、コア20グリカンを発現していない細胞よりも、NK細胞による攻撃に対し抵抗性が高くなることを、in vitro、in vivo両方の実験で証明した。 (2)NKレセプターの癌のリガンドがコア20グリカンによって修飾されていると、レセプター'とリガンドの相互作用が弱められることを明らかにした。 (3)コア20グリカン高発現細胞の方が、コア20グリカンを発現していない細胞よりも、宿主内で生存しやすく高頻度で転移することを示した。 研究成果:上記の結果より、コア20グリカンを高発現する癌細胞の方が、発現していない癌細胞よりも宿主による攻撃から逃れる性質が強く、高頻度で転移することが明らかになった。そして、'この成果を公表した。(論文一報、総説一報。いずれも査読有り)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画の、膀胱癌細胞KK/・47と、KK・47にコア20グリカンを発現させた細胞KK・47・C2の比較の解析に加え、コア20グリカンの発現を抑えたノックダウン細胞YTSC2KDも解析することによって、得られた結果をさらにconfirmすることができた。また、当初の計画に加えてin vivoの実験も行った結果、非常にレベルの高い論文(EMBOJournal)として発表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
コア20グリカンで修飾されたMUC1(細胞表面ムチンの一つ)が、NK細胞が分泌するTRAILに対してシールド効果を発揮するという、もう一つの大きな結果を、様々な生化学的データと合わせて、今年度中に論文発表することを目指す。また、膀胱癌以外の他の癌種においても同様のメカニズムが存在するかどうかを検討する。
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