2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22570139
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
吉久 徹 名古屋大学, 物質科学国際研究センター, 准教授 (60212312)
|
Keywords | tRNA / 細胞内動熊 / tRNAリガーゼ / スプライシング / tRNA切断 |
Research Abstract |
近年、tRNAの転写、切断、細胞内局在などをターゲットにして、生育環境に応じて翻訳制御が行われる例がいくつも見つかってきた。本計画では、tRNAを標的にした新しい翻訳制御の分子メカニズムを明らかにすることを目指す。そこで、出芽酵母をモデル生物として、(I)tRNAのアンチコドンループ切断によるtRNAの機能制御、(II)tRNAの細胞内動態を通じた翻訳制御、の2つを取り上げ、その分子機構の解明を目指して研究を進めている。 今年度はまず、出芽酵母のtRNAスプライシングリガーゼRlg1pがスプライシング以外に、アンチコドンループが切断されたtRNAの「治癒活性」を持つかを検討した。我々が既に取得しているrlg1温度感受性変異中で、本来の基質では無いイントロンを含まない前駆体として転写されるtRNAのNorthern解析を行った。しかし、制限温度(37℃)下で、イントロンを含むtRNA以外についてはアンチコドンループを切断されたtRNA断片の蓄積は見られず、Rlg1pがtRNAの治癒機能を持つことを示す積極的な証拠は得られなかった。また、tRNAの成熟化中大きなイベントであるスプライシングが翻訳に与える影響を調べるため、tRNATrpをコードする全8つの遺伝子を全てイントロン欠失アリルに変換した株を構築し、in vivoでの翻訳活性を検討した。驚いたことに、この株は野生株とほぼ同等の翻訳能力を持ち、イントロンをもった前駆体として転写されること自身はtRNAの機能に大きな影響を与えないことがわかった、さらに、Rlg1pの解析を通じて、tRNA前駆体のスプライシング後に生じたイントロンの分解酵素への橋渡しや、tRNA型のスプライシングを受けるHACl mRNAの翻訳制御に関わるなど、多機能の酵素であることが明らかとなった。
|
Research Products
(6 results)