2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22570139
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
吉久 徹 名古屋大学, 物質科学国際研究センター, 准教授 (60212312)
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Keywords | tRNA / 細胞内動態 / tRNAリガーゼ / スプライシング / tRNA切断 / 出芽酵母 |
Research Abstract |
近年、tRNAの転写、切断、細胞内局在などをターゲットにして、生育環境に応じて翻訳制御が行われる例がいくつも見つかってきた。本計画では、tRNAを標的にした新しい翻訳制御の分子メカニズムを明らかにすることを目指す。そこで、出芽酵母を用い、(I)tRNAのアンチコドンループ切断によるtRNAの機能制御、(II)tRNAの細胞内動態を通じた翻訳制御、の2つを取り上げて研究を進めている。さらに、ストレス依存の切断部位と同じtRNAのアンチコドンループ部に挿入されていることが多いtRNAのイントロンの生理的意義を検討するため、tRNAのイントロン欠失株の構築・解析も行った。 今年度はアンチコドンループが切断されたtRNAの運命を、出芽酵母で検討するための系の構築を進めている。現在、本来液胞に存在するRNaseながら酸化ストレスに応じて細胞質に移行することが知られている酵母Rny1pを、誘導可能なteto_<7->CyClプロモータープロモーターより細胞質で発現させる株の構築に取り組んでいる。また、切断tRNAが再結合される可能性をin vitroで検討するため、酵母tRNAリガーゼの組換えタンパク質の発現・精製も行った。 次に、イントロンを含んだ二つの遺伝子から転写されるtRNA-IleUAUのイントロン欠失株を構築し、この株が野生型並みの生育を示したこと等から、tRNA-IleUAUのイントロンには生育に必須な機能のないことを明らかにした。一方、in vitroではtRNA-IleuAuはイントロン依存にwobble位がシュードウリジン(Ψ)化されることが知られていたが、我々は、in vivoでのΨ化もイントロンに依存することを上記の株を用いて明らかにし、tRNAのイントロンがtRNAの成熟化には重要な機能を持つことを突き止めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
H23年度は研究を進める大学院生を新たに確保できなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
前述のマンパワーの不足状況はすぐに改善されない見込みであり、自身での研究遂行のための努力をする。特に、今年度に引き続き、Rny1pにより切断されたtRNA断片の運命の解析を出来るだけH24年度の早い時期に終了し、予定されている他の変異、あるいは、外来RNaseの導入による酵母細胞中でのtRNA断片の生成と、その断片の運命の解析につなげる。
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