2010 Fiscal Year Annual Research Report
中心体キナーゼによるG0期とM期を繋ぐ新たなシグナル伝達経路の解析
Project/Area Number |
22570185
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藪田 紀一 大阪大学, 微生物病研究所, 助教 (10343245)
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Keywords | 中心体 / キナーゼ / M期 / Lats / Aurora / Hippo / リン酸化 / G0期 |
Research Abstract |
本研究の目的は中心体キナーゼによるG0期(静止期)とM期(分裂期)を繋ぐ新たなシグナル伝達経路を見出し、その生理的意義を明らかにすることにある。ほぼ研究計画どおり順調に進み以下の成果を得た。1、中心体キナーゼAurora-Aによりリン酸化されるLats2の新たな部位として同定した380番目のセリン(S380)に対する特異的抗リン酸化抗体を作製し、内在性Lats2のS38qがM期にリン酸化されることを見出した。2、免疫染色によりリン酸化Lats2 (pS380-Lats2)がM期中期の染色体上とその周辺およびM期後期のセントラル・スピンドル上に局在することを見出した。この局在の特異性を薬剤やsiRNAを用いたAurora-Aの阻害により確認した。3、pS380-Lats2の一部は染色体分配と細胞質分裂に重要なAurora-Bキナーゼと共局在していることを発見した。4、Lats2蛋白質がその類似遺伝子産物Lats1およびAurora-A、Aurora-B蛋白質と結合し、Lats1がAurora-Bをリン酸化することを見出した。5、S380の非リン酸化変異体(アラニン置換体S380A)をHeLa細胞に発現させると多核化、異常核の形成、染色体架橋、小核が観察された。これらの結果は、Aurora-AによるLats2のリン酸化がLats2の細胞内局在を変化させてAurora-A-Lats2-Lats1-Aurora-B(ALB)経路を形成し、正確な染色体分配と細胞質分裂の制御に機能、していることを示唆している(論文投稿中)。6、一方で、DNA損傷応答の下流でChk1キナーゼによりLats2の別の部位がリン酸化され、14-3-3蛋白質を介してmRNAの翻訳抑制に機能するP-body (processing body)の形成に重要な役割を果たしていることを見出した(「研究発表・成果」参照)。
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