2010 Fiscal Year Annual Research Report
ファゴソーム成熟を司るSNAP-23の新奇機能の解明
Project/Area Number |
22570189
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
初沢 清隆 福島県立医科大学, 医学部, 准教授 (20256655)
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Keywords | SNAREタンパク質 / ファゴサイトーシス / ファゴソーム / マクロファージ |
Research Abstract |
マクロファージなどの食細胞は、生体防御の最前線で病原微生物などの侵入に対処する。この防御反応で重要なのは、ファゴサイトーシスとファゴソーム成熟の過程である。いずれも細胞内オルガネラとの密接な融合反応が関わる過程であるが、特に後者の分子機構はよくわかっていない。本研究では、この過程におけるSNAP-23(膜融合装置)の新奇機能と調節機構の解明を目的とした。 本年度は「SNAP-23のファゴソーム成熟過程における機能解析」を行い、以下の点を明らかにした。(1)ファゴソーム内部の酸性化状態を解析するため、pH指示薬であるpHrodoを結合した黄色ブドウ球菌を用いた定量法を確立した。(2)この方法により、SNAP-23の過剰発現マクロファージでファゴソーム内部の酸性化が亢進していることがわかった。(3)この細胞株から精製したファゴソームを生化学的に解析した結果、内部酸性化に関与する液胞型(V-)ATPaseのサブユニットの局在量が亢進していた。従って、SNAP-23がV-ATPaseの局在化に伴う膜融合に機能すると考えられる。 さらに、SNAP-23のファゴソーム膜上での機能を解明するために分子内FRETの検出条件を検討した。その結果、(4)tagGFP2とtagRFPの場合に効率よいFRETが見られた。そこで、SNAP-23のN末端にtagGFP2、内部領域にtagRFPを組み込んだものをマクロファージに発現させたところ、(5)細胞膜とファゴソーム膜に局在することが確認され、また、(6)種々のSNAREタンパク質との組み合わせで共発現させた結果、VAMP5とsyntaxin3(syx3)の組み合わせの時に細胞膜で顕著なFRETが観察された。これから、これまで未同定のSNAP-23/VAMP5/syx3のSNARE複合体が、細胞膜で機能する可能性が考えられた。ファゴソーム膜上のFRETについては現在解析中である。
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Research Products
(4 results)