2011 Fiscal Year Annual Research Report
環境保全型イネのゲノム育種に役立つ、酸性土壌ストレス耐性の遺伝子単離と機能解析
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22580010
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
清水 顕史 滋賀県立大学, 環境科学部, 助教 (40409082)
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Keywords | 抵抗性・耐性 |
Research Abstract |
以下の(1)~(3)のリン酸欠乏ストレスおよび酸性耐性関連形質について、遺伝子単離に向けた研究をそれぞれの準備状況に応じて進めた。 (1)「リン欠乏ストレスによって誘導される根の伸長(REP)」については、マップベースクローニングにより見出した候補遺伝子を、過剰発現および機能抑制した遺伝子組換えイネを用いた発現解析を行うことにより、この遺伝子がリン欠乏ストレス応答遺伝子の発現制御に関わる可能性を示すことができた。 (2)「リン欠乏ストレスよって誘導される酸性ホスファターゼ(APase)活性」については、マイクロアレイ法による発現解析および染色体断片置換系統による形質マッピングにより、染色体8のAPaseの関与が示唆されていた。RAP-DB(http://rapdb.dna.affrc.gojp/)のFlanking Sequence Tag情報より、染色体8のAPaseに影響を及ぼしうるT-DNA挿入変異系統を入手した。そのうち1つの変異系統で、APaseの上流域へのアクチベーションベクター挿入が確認でき、リン欠乏ストレス誘導性の下位葉葉身APase活性上昇も確認できた。 (3)「pH3.6の酸性水溶による根の伸長阻害に対する耐性」については、日本晴(耐性)およびKasalath(感受性)の品種間差を説明する遺伝子座を明らかにするため、遺伝的背景の異なる集団によるQTL解析を行った。日本晴/Kasalath//KasalathのBC_1F_2集団および日本晴を遺伝的背景にもつKasalath染色体断片置換系統群で低pH感受性の程度が繰返し大きかったSL9系統と日本晴のF_2集団によるQTL解析により、染色体7に有意な遺伝子座領域が検出された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の目的としていた酸性土壌ストレス耐性関連形質を制御する遺伝子について、1つの形質は遺伝子単離を行ないその機能解析まで進めていること、更にもう一つの形質についてもT-DNAタギング変異体を利用した遺伝子単離ができているため。
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Strategy for Future Research Activity |
単離できた低リン誘導性遺伝子については、発現ベクターを用いた機能解析を進め、論文にまとめる。また染色体8のAPaseについては、染色体断片置換系統を利用した詳細マッピングも行い、T-DNAタギングによる遺伝子単離の補間を試みる。 低pH耐性形質については、複数の集団で検出された染色体7のQTLの効果を確認するとともに詳細マッピングに向けた交雑後代づくりを試みる。
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