2010 Fiscal Year Annual Research Report
微生物由来がん細胞特異的毒素の生体に対する毒性と消化器がん抑制効果
Project/Area Number |
22580111
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Research Institution | Fukuoka Industrial Technology Center |
Principal Investigator |
奥村 史朗 福岡県工業技術センター, 生物食品研究所, 専門研究員 (40399671)
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Keywords | 微生物 / パラスポリン / 癌 / モデルマウス / 蛋白質 |
Research Abstract |
パラスポリン4(PS4)はヒト大腸がん由来のCACO-2細胞をはじめとするヒト培養がん細胞に対して高い細胞傷害活性を示す一方で、正常細胞に対しては細胞傷害活性を示さないことから、PS4による消化器がんの治療試験を行うことを本研究の最終的な目的としている。PS4を産生するBacillus thuringiensis(BT)は胞子形成時に封入体のタンパク質を形成するという特徴をもっている。BTは、この封入体タンパク質が特定の昆虫に対する殺虫活性を示すことで知られ、殺虫活性を示すタンパク質はクライトキシン(Cry)と呼ばれている。この封入体タンパク質は前駆体の形で産生され、昆虫の消化液(アルカリ性)で可溶化され、消化酵素でプロセッシングされてはじめて活性を示す。ほとんどのCryは酸性溶液中では凝集して失活することが知られており、Cryが胃酸で失活することが、人体に対する安全性の根拠のひとつとなっている。本研究において、まず、大腸菌組換え体を用いてPS4の前駆体及び活性体を調整した。次に、PS4の実験動物へ投与可能な量を検討するために、哺乳動物に対する急性毒性を検討し、LD50=9.6μg/kg(マウス)という結果を得た。また、経口投与したPS4の生体内における動態を検討するために、ELISA法を用いたPS4の血中濃度の測定法を確立した。PS4を静脈・皮下・腹腔内から投与したところ、静脈注射においては投与直後に85ng/mL、皮下注射では投与2h後に84ng/mL、腹腔内注射では6h後に39ng/mLの最高濃度を示し、16h後にはすべて20ng/mL以下まで低下した。さらに、PS4前駆体封入体をマウスに経口投与し、マウス消化器官内でPS4が可溶化・活性化されるが血中には移行しないことをウエスタンブロット法により確認した。
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Research Products
(3 results)