2011 Fiscal Year Annual Research Report
微生物由来がん細胞特異的毒素の生体に対する毒性と消化器がん抑制効果
Project/Area Number |
22580111
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Research Institution | Fukuoka Industrial Technology Center |
Principal Investigator |
奥村 史朗 福岡県工業技術センター, 生物食品研究所, 専門研究員 (40399671)
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Keywords | 微生物 / パラスポリン / 癌 / モデルマウス / 蛋白質 |
Research Abstract |
パラスポリン4(PS4)はヒト大腸がん由来のCACO-2細胞をはじめとするヒト培養がん細胞に対して高い細胞傷害活性を示す一方で、正常細胞に対しては細胞傷害活性を示さないことから、PS4による消化器がんの治療試験を行うことを本研究の最終的な目的としている。 本研究において、まず、マウスにPS4を投与した際の死亡原因について検討を行った。マウスにPS4を投与した際、尿の頻度が増えたことから、代謝ケージを用いて投与後の尿を回収するとともに、経時的に血液を採取して、尿と血清中の陽イオン濃度を測定したところ、投与マウスについてはナトリウムを除いて尿からの陽イオンの排出が行われていなかった。そこで腎機能傷害を疑い、ヒトの腎機能指標であるクレアチニン及び尿素窒素濃度について測定したところ、投与後すぐからクレアチニン及び尿素窒素が尿から排出されず、血清中の濃度が増加していくことが判明した。このことからPS4がマウスにおいて腎機能傷害を引き起こしてマウスを死亡にいたらしめていると判断された。 また、PS4前駆体封入体をマウスに経口投与し、消化器がんの治療効果を確認する試験のために、大腸がん誘発マウスをつがいで購入し、検討可能な数に繁殖を行っている。大腸がん誘発マウスは劣性遺伝で、正常メスと変異オスを掛け合わせて、確率的には生まれてくる子の半数が大腸がん誘発マウスとなるが、つがいとして現在9ペア準備可能となった。9ペアを同時につがった場合、50匹程度の子が期待されることから、これを変異群と正常群にわけて、PS4前駆体封入体投与試験を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定している試験として、大腸がん誘発マウスに対するPS4前駆体封入体投与試験と正常マウスに対するPS4前駆体封入体投与に対する健康への影響の検討があるが、試験用のマウスが順調に繁殖しており、残る1年で十分検討可能と思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、繁殖中の大腸がん誘発マウスを用いて、(1)大腸がん誘発マウスに対するPS4前駆体封入体投与試験及び(2)正常マウスに対するPS4前駆体封入体投与に対する健康への影響の検討を行っていく。変更等は特になし。
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Research Products
(2 results)