2010 Fiscal Year Annual Research Report
細胞で発生する安定炭素中心ラジカルの分析およびその生理学的影響の解析
Project/Area Number |
22580116
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
安保 充 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 講師 (00272443)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 記一 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教 (50321906)
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Keywords | 活性酸素 / ラジカル / ESR |
Research Abstract |
ラジカル種は一般にその半減期が短く、ESRを用いて直接分析できないものも多い。今回の研究対象となる炭素中心ラジカルは、活性酸素種(ROS)などに比べると、その半減期は長いものの、測定時間内に安定に計測するため、スピントラップ剤を用いて分析を行った。具体的には、市販されているDMPO、および、その類縁体であるDEPMPOを2-メチル-1-ピロリンから合成したものを用いた。また、DEPMPOをより疎水的な置換基に変えたDBPMPO,DPPMPOは現在合成中である。 炭素中心ラジカルの生体への影響を調べるには、その化学構造、半減期などを調べる必要があり、まず植物根から放出されるラジカル種のトラップ実験を行った。発芽5日後のダイズの根1個体を36 mM DEPMPO溶液に浸漬させたところ、15分以内に炭素中心ラジカルの信号を与えたが、DMPO、POBNではESRの信号を与えなかった。以上のことから、感度良く炭素中心ラジカルを計測するためDEPMPOを用いることとした。次に、培養液中に含まれる炭素中心ラジカルのDEPMPO付加物のシグナル強度を、経時的に測定したところ、このシグナルには少なくとも3種類の半減期を持つラジカルが存在しており、その半減期は110、210、8200分であった。半減期の長い炭素中心ラジカルについては、HPLC分離、構造決定を計画している。 以上、炭素中心ラジカルの捕捉方法、半減期など基礎的な性質の一端が明らかになった。
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