2011 Fiscal Year Annual Research Report
タンパク質必要量と可決アミノ酸の代謝制御に関する研究
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22580140
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
金本 龍平 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (70147297)
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Keywords | 栄養生化学 / アミノ酸代謝 / タンパク質必要量 / 可決アミノ酸 / アミノ酸応答経路 / アスパラギン合成酵素 / 3-ホスホグリセリン酸脱水素酵素 |
Research Abstract |
成長期ラットにタンパク質含量の異なる餌を与えて飼育し、各臓器における代謝酵素のmRNAと酵素タンパク質の発現量を測定したところ、その発現が餌のタンパク質含量に応答して変動する臓器(肝臓など)と、変動はしないが、常に発現量が高い臓器(精巣など)と低い臓器(腎臓など)に別れることが明らかとなった。つまり、臓器の可欠アミノ酸の要求量に応答して発現制御されることが示唆された。また、無タンパク質食で飼育したラットの餌を必要量のタンパク質を含む餌に切り替えると、肝臓におけるPHGDHとASの発現が摂食後わずか1時間で抑制されることを見出した。そこで、門脈にカニュレーションを施し、フリームービングで門脈血から経時的に採血してアミノ酸濃度を測定したところ、摂食開始10分でメチオニンやロイシンなどの濃度が上昇し30分でプラトーになることが明らかとなった。ついで、メチオニンまたはロイシンを欠失させたアミノ酸混合食を与えたところ、メチオニンを欠失させた餌では抑制効果が認められなかった。つまり、摂食直後の門脈血におけるメチオニンの濃度変化が肝臓における代謝酵素の発現制御のシグナルの一つであることが示唆された。さらに、mRNAの発現量の変化は摂食直後から始まるが、酵素タンパク質量が変化するには24時間以上要することをつきとめた。これは、門脈血中のアミノ酸濃度の変化がシグナルとなるが、異なるタンパク質栄養に適応して代謝が変動するには継続したシグナルが必要であることを示しており、結果としてタンパク質必要量に応答した代謝酵素の発現変動を導き出すものと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
成長期と成熟期ラットの各臓器における代謝酵素の発現量と各臓器におけるアミノ酸含量を測定する予定であったが、アミノ酸分析機の不調により、解析が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
メチオニンがシグナルとなる可能性は見出したが、その他のアミノ酸についても検討を行い、シグナルとなるアミノ酸を特定する。さらに、アミノ酸飢餓応答のマスターレギュレーターであるATF4の関与をクロマチン沈降法を用いて検討し、制御の分子機構を明らかにする。
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Research Products
(7 results)