2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22580159
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
岡野 哲郎 信州大学, 農学部, 教授 (00194374)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安江 恒 信州大学, 農学部, 准教授 (00324236)
城田 徹央 信州大学, 農学部, 助教 (10374711)
石井 弘明 神戸大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (50346251)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 強度間伐 / ヒノキ / 壮齢林 / 生態系サービス / 生物多様性 |
Research Abstract |
強度間伐から18年が経過する過程で,低木層の発達,林床の光環境の悪化,林冠層の再閉鎖の進行,低木層と林床層の衰退が確認された。この期間の林床の植生データの解析を行ったところ,種組成の変化が認められた。すなわち強度間伐当初は明るい環境を好む植物が多く見受けられたが,低木層が発達することで,種組成が大きく変化した。低木層を構成する64種のうち,繁殖を開始したのは16種に限られた。すなわち下層植生の多様化が進んだが,それが維持される段階にはなかった。むしろ低木層の発達のあとに開始された林冠層の再閉鎖の進行によって,低木層は個体数を大きく減少させていた。今後,数年間のうちに林冠層が完全に閉鎖されると考えられるが,そのときには低木層の顕著な衰退が生じることが予想された。年輪年代学的解析によって,間伐により約5年間の成長停滞が認められた。樹冠の葉量分布を解析したところ,このようなストレス環境下にあっては樹冠拡張ではなく樹冠内部への後生枝の配置によって葉量を回復していた。間伐後10年後までに林冠閉鎖がほとんど進行しなかったのは,このような樹冠構築様式の可塑性によるものと考えられる。林冠層の閉鎖が不十分で,下層に光が届く状況では,下層植生による純一次生産は全体の18%に及んだ。すなわち,林冠再閉鎖にいたる段階では下層植生が生物多様性を向上させるだけでなく,物質生産機能を発揮させていると結論された。下層を構成する種はスズタケを除き全て落葉性の植物であるため,純一次生産のリターへの配分比が高くなっていた。このことは常緑性のヒノキ人工林において,リター供給が相対的に加速化されることによって,純一次生産の幹への蓄積ではなく,土壌への蓄積が進んだことを示唆する。すなわち強度間伐は生物多様性,物質生産だけでなく,物質循環のプロセスも改変し,生態系機能を変化させていると結論される。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(6 results)