2011 Fiscal Year Annual Research Report
豪雨・台風に伴う森林域の栄養塩動態に関する実証的研究
Project/Area Number |
22580169
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
篠宮 佳樹 独立行政法人森林総合研究所, 立地環境研究領域, 主任研究員 (20353716)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大年 邦雄 国立大学法人高知大学, 農学部, 教授 (00127060)
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Keywords | 森林 / 気候変動 / 豪雨 / 台風 / 栄養塩 / 窒素 / 微細土砂 |
Research Abstract |
雨量が多くなると、森林から窒素などの養分や微細土砂の流出が増大する傾向にある。気候変動による豪雨の頻度増加やスーパー台風の襲来により雨量が多くなると、森林から窒素などの養分や微細土砂の流出が増大し、河川水質の悪化や河川生態系への悪影響が危惧される。森林からの窒素・微細土砂流出に関する将来予測をより正確に行うため、実際の豪雨時の観測結果から類推する方法が考えられる。本研究では、複数の森林流域で、1降雨の雨量あるいは年雨量の増加に対して森林からの窒素・微細土砂の流出量がどのような応答を示すかを明らかにし、それを基に将来予想される豪雨時における森林からの窒素等養分・微細土砂の流出について考察することが目的である。 平成23年度は平水時や中小出水の観測を継続しつつ、7月と9月に高知、茨城のいずれの試験流域においても台風に伴う大規模な出水時のサンプリングに成功し、広い雨量範囲を対象に出水時の栄養塩流出量を解析する基礎データを取得することができた。茨城流域で平成23年度9月の大規模出水時に観察されたSS濃度の最大値は平水時の約420倍となっていた。取得済みデータに対して、流量とSS濃度の関係について解析したところ、時計回りのヒステリシスが観察され、流量増加過程でSS濃度が高く、流量逓減過程では速やかにSS濃度が低下することが確認された。 平成24年度は年内を目途に観測を維持するとともに、分析・解析を優先し、発表を行う。具体的には昨年度までに入手した結果を中心に1降雨の雨量(流量>と窒素等養分、SS等の流出量の関係の解析、年間の雨量(流量)と窒素等養分、SS等の流出量の関係の解析を行う。その傾向を分析し、森林域における豪雨・大雨時の窒素等養分・微細土砂の流出に関して考察する。とりまとめた成果は、森林科学・水環境学・水資源学分野で研究発表、同分野の学術雑誌へ論文投稿する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成22年度は、繰り越し制度も活用し、主な研究対象とする台風に伴う大規模な出水時の試料を採取できたため。また、分析も大半が終了しており、1降雨の雨量(流量)と窒素等養分、SS等の流出量の関係について解析を行っている段階であるため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度も観測体制を維持するとともに、分析および解析を優先する。具体的には昨年度までに取得した結果を中心に1降雨の雨量(流量)と窒素等養分、SS等の流出量の関係の解析、年間の雨量(流量)と窒素等養分、SS等の流出量の関係について解析し、森林域における豪雨・大雨時の窒素等養分・微細土砂の流出に関して考察する。成果は、まず森林科学・水環境学・水資源学分野で研究発表を行う。その後、同分野の学術雑誌へ論文投稿する。
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Research Products
(5 results)