2011 Fiscal Year Annual Research Report
酸性化に伴う森林土壌の重金属保持機能の変化と溶出リスク予測に関する研究
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22580172
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
伊藤 優子 独立行政法人森林総合研究所, 立地環境研究領域, 主任研究員 (60353588)
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Keywords | 重金属 / 物質循環 / 森林土壌 |
Research Abstract |
本研究では、森林土壌の酸性化による重金属の動態の変化が森林生態系内および系外へ及ぼす影響を予測するために、重金属のなかでも有害性の高い鉛(Pb)、カドミウム(Cd)、高濃度では有害であるが植物の必須元素でもある銅(Cu)、亜鉛(Zn)、および人為起源の指標となりうるバナジウム(V)、アンチモン(Sb)を対象とした。今年度は、森林小流域(筑波共同試験地)において、降水(林外雨、林内雨)、および土壌水(0~100センチ)の観測観測(2週間に一回の頻度)を前年度より継続して行った。また、観測地点の森林土壌の物理性を明らかにした。 1)森林生態系における重金属の動態 筑波共同試験地における降水(林外雨)中の重金属濃度の平均値はそれぞれ、Pb:1.44μgL^<-1>、Cd:0.05μgL^<-1>、Cu:5.05μgL^<-1>、Zn:7.27μgL^<-1>、V:0.41μgL^<-1>、Sb:0.09μgL^<-1>であった。これらの重金属の濃度は林内雨中で高くなった。また、流域から流出する渓流水中の濃度はバナジウムを除き、林外雨中の濃度より低下した。しかしながら、バナジウムは林外雨より渓流水中の濃度が3倍程度高く、筑波共同試験地の地質の影響が見られた。一方、土壌水中の重金属濃度はカドミウムを除いては表層以外では低濃度であった。カドミウムは下層100cmの深度においても高い値を示したが、渓流水中の濃度はその濃度の1/100程度に低下しており、流域からのカドミウムの流出は少なかった。 2)森林土壌の物理性の解明 土壌水を採取している地点の土壌の粒径組成分析を行った結果、表層、下層ともLiCであった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
火山灰土壌の特性のため、供試土壌の物理化学性分析が計画よりも遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は森林土壌中の重金属保持形態の解明のために、層位ごと採取した土壌試料を用い、BCR法により深度別に土壌固相と重金属の結合形態、および、その存在割合を明らかにする。
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