2011 Fiscal Year Annual Research Report
地すべり変位量に基づく地震力の定量化と新たな指標の提言
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22580174
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
岡本 隆 独立行政法人森林総合研究所, 東北支所, 主任研究員 (30353626)
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Keywords | 地すべり / 地震 / 自然現象観測・予測 / 土砂災害 |
Research Abstract |
近年、大規模地震による地すべり災害が頻発している。地震誘起型の地すべりには、素因(地形・地質)と誘因(地震動)が複雑に関わるため、降雨時の地すべりに比べて発生機構の解明が遅れている。本課題では、同一の地すべり地における複数の地震時地すべりの観測結果を用いることで、地震の誘因のみに焦点を絞り、地震力を評価する新たな指標を提示することを目的とする。 まず、地震動および地すべり変位を観測中の伏野地すべり試験地(新潟県上越市)において、2011年3月12日に長野県北部を震源とするM6.7の地震(以降、長野県北部地震と呼ぶ)が発生し、試験地では最大震度5強、最大加速度3829galの地震動と、約2mmの地すべり変位が観測された。そこで研究開始当初に対象としていた中越地震、中越沖地震に加え、本地震を新たに解析対象に加えた。それぞれの地震について、最大加速度と地すべり変位量の関係を比べた。中越、中越沖の地震動が試験地で観測されていないことを考慮し、比較に用いる最大加速度は近傍の安塚観測点(K-NET・NIGO28)での観測値で統一した。その結果、最大加速度の最も大きい長野県北部地震で地すべり変位量が最も小さくなり、地震の最大加速度と地すべり変位量は一致しなかった。この結果は本研究の着想時に想定した、斜面変動には加速度以外の成分も効くという考えを補強することになるが、一方で長野県北部地震は積雪期に発生したため、積雪層の被覆による地すべりの抑制効果も考えられた。 この他、長野県北部地震について、平野部と地すべり地での地震波形を比較し、地形・地質の違いによる振動成分の変化を考察した。その結果、軟弱地盤で構成される地すべり地では、短周期成分が減衰して相対的に長周期成分が卓越し、ゆっくりとした揺れが優勢になることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究の解析地震動が従来の2つ(2004年中越地震、2007年中越沖地震)から、2011年長野県北部地震を加えて3つとなり、さらに詳しい解析が可能となったため。
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Strategy for Future Research Activity |
東北地方太平洋沖地震およびその誘発地震によって、試験地を含む日本列島の地殻構造および応力場が大きく崩れてしまったため、当初予定の中越地震、中越沖地震の本震波形の再現が技術的に困難となった。一方で、試験地では長野県北部地震やその余震を多数観測できたため、それらを本研究の解析対象として新たに加えることで、本研究の目的は問題なく果たせると考える。以上から、本研究の推進は、対象地震の軸足を、当初の中越、中越沖地震から、長野県北部地震およびその余震へ移すことで継続することで対応する。
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Research Products
(6 results)