2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22580195
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
水田 浩之 北海道大学, 水産科学研究科(研究院), 准教授 (00250499)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 水産学 / 海藻 / 抵抗性 / ストレス / コンブ類 |
Research Abstract |
栄養成長期と生殖成長期(子嚢斑と呼ばれる生殖器官形成期)にあるコンブ類胞子体の葉状部組織において、組織化学的観察、フェノール化合物含有量測定およびポリフェノール代謝に関与する酵素(フェニルアラニンアンモニアリアーゼおよびポリフェノールオキシダーゼ)活性の測定を行った。また、コンブ類の繁殖における静的防御機構(健全な藻体の存在する本来備えている抵抗機構)に関与するケイ素の吸収速度を、栄養組織部位と子嚢斑形成部位で測定し、比較した。その結果、下記のとおりコンブ類が成熟過程において繁殖の成功に向けて抵抗力を向上させていることが明らかになった。 1)子嚢斑の形成に伴いフェノール化合物含有量は増加し、被食動物等に対する抵抗力を向上させる化学的隔壁として作用していることが分かった。加えて、子嚢斑部位のフェニルアラニンアンモニアリアーゼおよびポリフェノールオキシダーゼ活性が子嚢斑に隣接する栄養組織部位に比べ高い値を示したことから、成熟に伴いポリフェノールの代謝が活発になり、抵抗力を強化していることが明らかになった。 2)海藻において必須性が不明であったケイ素が、表皮細胞と皮層細胞の間の細胞間隙に分布していた。特に、生殖器官や傷害治癒組織で高いことから、ケイ素がコンブ類の胞子体の成長過程のみならず生殖器官の形成及びその保護に大きく関わり、繁殖の成功に大きく寄与していることが示唆された。この繁殖におけるケイ素の関与は、子嚢斑形成部位における高いケイ素吸収速度によって支えられていることが明らかになった。 3)ワカメやチガイソを含むチガイソ科褐藻の胞子葉(一般的にめかぶと呼ばれる生殖器官)でも高いケイ素およびフェノール化合物含有量を示す傾向が認められたことから、生殖器官の保護に寄与するケイ素の役割は、コンブ科褐藻だけでなくチガイソ科褐藻を含めたコンブ類に広く共通するものであると考察された。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(1 results)