2012 Fiscal Year Annual Research Report
漁業被害対策としてのカワウ駆除の有効性:多角的アプローチによる効果検証
Project/Area Number |
22580210
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
高井 則之 日本大学, 生物資源科学部, 准教授 (00350033)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桑江 朝比呂 独立行政法人港湾空港技術研究所, その他部局等, その他 (40359229)
佐藤 喜和 日本大学, 生物資源科学部, 准教授 (60366622)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | カワウ / 食害 / 生態系 / 安定同位体 / 内水面漁業 / 駆除 / アユ / ウグイ |
Research Abstract |
カワウPhalacrocorax carboによる内水面有用魚種への食害の防止対策として駆除が有効か評価するため,伊豆半島狩野川流域に生息するカワウの生態調査を実施した.本年度は,目視観察による個体数調査,および安定同位体比分析による採餌履歴解読において成果を上げることができた.平成22-23年度における駆除検体の胃内容物調査では,ウグイやアユなど,狩野川水系に生息する淡水魚と淡水エビのみが検出されている.そこで,ウグイとアユについて,狩野川水系で採集された個体と駆除検体の胃内から摘出された個体の安定同位体比を分析したところ,採集個体と胃内容物個体の同位体比分布はほぼ合致していた.この同位体比分布は,前年度に駆除検体の体組織の安定同位体比から計算した餌生物の同位体比推定値とも合致していた.したがって,駆除期(繁殖期)のカワウは狩野川水系の淡水魚を主要な餌生物としていることが,安定同位体比データからも裏付けられた.狩野川水系のコロニーは,駆除活動が始まった平成9年当時から伊豆の国市の山林に形成されていたが,24年度には,この場所にコロニーが形成されておらず,そこから約3.5km北西の海岸地点に新たなコロニーが形成されていることが確認された.このようなコロニー形成場所の移動にも関わらず,秋季(10月30日)の個体数調査では,狩野川水系中・下流域の8地点で合計463羽ものカワウが確認された.この日計総数は,3年間の調査期間中で最も多かった.カワウが狩野川水系の中・下流域を秋季の主要採餌場として利用する特性は,駆除が実施され,更にコロニー形成場所が移動しても変わらないことが示された.狩野川水系におけるカワウの食害については,駆除以外の防除対策を検討する必要があるものと考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(6 results)